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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、資源反発でも値下がり続く

連載 2021-12-13

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、RSSが1キロ=220円台後半まで下落した。11月25日の257.50円をピークとした値下がり傾向が維持されている。新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」に対する警戒感の後退を受けて、株式相場や原油相場は総じて底固く推移している。リスクオフ圧力の反動から、安値修正の動きが活発化している。しかし、ゴム相場に関してはこうしたマーケット全体の値動きを無視した売り圧力が続いており、下値模索の展開が維持されている。

 上海ゴム先物相場は、1トン=1万4,000元台中盤で上値の重い展開になっている。こちらも11月25日の1万5,810元をピークとした値下がり傾向が続いている。

 マーケット環境全体としては、過度なリスクオフ環境の反動から、投資家のリスク選好性が高まっている。「オミクロン」が世界経済に対する大きなリスクに発展する可能性が警戒されていたが、重症化リスクは限定的との報告が各国で行われていること、ワクチンのブースター接種で高い感染予防効果を得られるとの製薬会社の報告などが、マーケット環境の改善を促している。株式や原油などリスク資産は全般的に安値修正の動きを強めており、本来であればゴム相場も安値修正の動きが支持される環境にあったが、独歩安とも言える軟調地合を形成している。

 しかも、中国人民銀行(中央銀行)は12月15日から預金準備率を0.50%引き下げると発表しており、景気支援の姿勢を強化している。これを受けて、非鉄金属相場なども地合を引き締めているが、ゴム相場に対しては大きな影響がみられなかった。

 中国不動産大手・中国恒大集団のドル建て債券の利払いが行われなかったこと、各国自動車販売が低調な状態にある影響なども指摘されているが、リスクオン環境でゴム相場のみが反発を見送って値下がりを続けている理由は見当たらない。「オミクロン」による需要悪化リスク軽減が進んでいるが、上海ゴム市場で投機色の売り圧力が続いていることが、ゴム相場の値位置を切り下げているというのが実態だろう。

 タイ中央ゴム市場の現物相場は、12月9日時点でUSSが前週比3.2%安の1キロ=55.00バーツ、RSSが同5.1%安の57.58バーツ。ラニーニャ現象による雨がちな天候の影響もあって集荷量は抑制されているが、産地主導で安値修正を進めるような動きは確認できない。もっぱら消費地相場と連動した値動きが続いている。ただ、期先に対する当限の下げ渋りで当先の順サヤ(期近高・期先安)が縮小していることは、上海主導の値下がりに対する抵抗感の存在を示している。

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