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とある市場の天然ゴム先物 09

【用語・データ集③】天然ゴムと先物市場の橋渡しとなるデータから需給を読む

連載 2021-02-24

TSR20先物の場合

 ちなみに、ここまではRSS3先物における受渡しや在庫についての話となります。

 大阪取引所のゴム先物にはもう一つTSR20先物がありますが、こちらは「タイまたはマレーシアの港における船積み(FOB)」での受渡しとなり、「日本国内の倉庫渡し」であるRSS3先物とは取り扱いが異なります。

 FOBというのは最終決済において売り手は船積みによって受け渡せばよいということですから、それまでは売り手がどこかに天然ゴム(TSR)を保管することになります。タイまたはマレーシアの港での受渡しですのでどちらかの国内の倉庫に保管しているのが自然でしょうが、RSS3先物のように取引所が倉庫を指定することはありません。そのため、TSR先物については指定倉庫在庫の統計データはありません。

 こうした受渡し方法の違いは先物の価格形成にも影響を与えます。RSS3先物は日本国内の倉庫渡しとなるため、RSS3先物の価格は原産地の価格だけでなく日本への輸送や日本国内の倉庫の状況にも影響を受けます。一方でTSR20先物はそうした要因の影響を受けませんので、より原産地価格に近い価格となるといえるでしょう。

 さて、今回はゴム先物の受渡高や在庫集計といった用語やデータの探し方をまとめてみました。次回では海外市場やその他のゴム先物の相場の参考になるデータをご紹介いたします!

※次回の更新は2021年3月9日(火)頃の予定です。

【もっと知りたい方に!】
北浜投資塾「先物取引」
JPX「天然ゴム先物ファクトシート」
TOCOM「ゴム取引の基礎知識」
宇佐美洋・小野里光博「入門 商品デリバティブ」
JPX「商品先物取引に係る受渡決済関係事務処理要領」

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