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連載コラム「白耳義通信」④

「ベルギーの正月」

連載 2017-01-11

作者 Steph Gray le 15 janvier 2011 (CC BY-Sa 2.0) [CC BY-SA 4.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)], ウィキメディア・コモンズ経由で


鍵盤楽器奏者 末次克史

 Bonne année!(仏)Gelukkige nieuwjaar!(蘭)どんな2017年を迎えられたでしょうか。本年もお付き合いの程よろしくお願いします。

 最近は正月色も薄まってきたとはいえ、正月飾りに始まりおせち料理、お年玉、年賀状と、正月の風習はまだまだ残っている日本。大晦日に紅白歌合戦を見て、元日に初詣という家庭もあるのではないだろうか。

 ベルギーでは正月に特別何かをするということはない。自治体によっては新年の幕開けと共に花火を挙げたり、最近では庭付きの家でも打ち上げ花火を挙げる家庭が多くなってきているものの、元日は家族や友達が集まってパーティをする程度である。

 日本では元日に店を開けるところも増えてきたけれど、大抵正月休みは3日までだろうか。ベルギーも元日は祝日だけれども翌日が平日であれば2日から仕事始めで通常営業。お年玉をあげる習慣もないし、いつもの生活が始まっていくので「ザ・正月!」感はない。

 強いていえばギャレット・デ・ロワ galette des rois(仏)Driekoningentaart(蘭)と呼ばれる、アーモンドと砂糖を挽いて練り合わせたマジパン massepain(仏)frangipane(蘭)を使ったパイ菓子を食べるのを楽しみにしている子供が多いことだろう。

 このタルトの中には小さな人形が入っていて、切り分けられたタルトの中に人形が入っていれば当たり! タルトに付いている王冠を被って皆から祝って貰うと、幸せな一年になると言われている。

 さて2017年、ベルギーはどうなっていくのだろうか。小国ということ、EU 加盟国ということもあり、必然的に大きな流れの中に巻き込まれていく運命にあるベルギー。移民問題、英国の EU 離脱問題、アメリカの影響を受けていくことだろう。昨年はテロが起こり、年末年始とヨーロッパ各地から悲しいニュースが伝わって来ている。避けて通ることができない問題が山積みだ。人形が皆に当たることを願わずにいられない。

【プロフィール】
 末次 克史(すえつぐ かつふみ)

 山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。

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