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連載「つたえること・つたわるもの」(95)

〈からだ〉によい汗・悪い汗、心地よい「快汗」をかく。

連載 2020-08-11

 戸外の気温は30℃以上なのに、冷房の効いた室内では上着を羽織ってもまだ寒い。夏なのに寒さで体温調節に変調をきたして、冷房病でダウンする人が年々増えている。 その昔、団扇(うちわ)や扇風機が夏の主役だった半世紀ほど前までは、春から初夏、梅雨をへて本格的な夏を迎える微妙な四季の変化に備えるように、〈からだ〉がゆっくりと順応していった。ちょうどウサギの体毛が冬毛から夏毛へと生え変わるように、私たちもまた〈陽春のからだ〉から〈初夏のからだ〉、さらに〈真夏のからだ〉へと徐々に衣更えするための、それぞれ20日間ほどの慣らし運転、つまり季節の変わり目という準備期間があった。

 ところが、いまやエアコン(冷暖房)完備の住宅に住む私たちは、寒い冬には暖房が効いた〈夏のからだ〉ですごし、暑い夏には冷房の効いた〈冬のからだ〉ですごしている。はたして、私たちはほんとうに快適な生活を手に入れたのだろうか。確かに、炎天下の戸外から冷房の効いた部屋に入ったときは、冷たい水を一気に飲み干したような爽快感がある。しかし、いくらおいしいからといって、冷水を10杯もたてつづけに飲んだらどうなるだろうか。 〈からだ〉が冷えすぎて、氷水を急いで食べたときのように頭の芯が痛くなり、たいていの人は気分が悪くなる。私たちが冷房の効いた部屋で体調を崩すのは、どんなにおいしいご馳走でも食べすぎると気持ち悪くなるように、〈からだ〉がいくら「爽快」と感じても、その度がすぎると、むしろ「不快」になってしまう。前回のコラムに書いた「冷え中毒」は、そのひとつである。

 さて、汗を出す汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺の二つがある。全身に約350万個も分布しているエクリン腺は、頭・顔・背中・腕・足の順に多く分布し、体温調節のサーモスタット機能をはたしている。おもに脇の下にあるアポクリン腺から出る汗は、毛穴から出る。この臭いのある汗には、哺乳動物特有の性的誘因物質フェロモンが含まれていて、野生動物では汗や尿の臭いが個体識別票の役目を果たしている。

 また、汗をかく原因別には、味覚性発汗、精神性発汗、温熱性発汗の三種類がある。

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