連載「つたえること・つたわるもの」(82)
「一隅を照らす」というミッション――〈今いる場所で希望の灯をともす〉
連載 2020-01-28
ところで、先日(1月18日)、私が代表を務める遠藤ボランティアグループの講座(勉強会)として、基調講演「医療的ケア児とその家族が直面している現状と問題」+シンポジウム「遠藤周作さんが、医療的ケア児の現状を知ったら、何を思い、何をなさるか」を、東京・世田谷タウンホールで開催した。当日は小雪が舞うあいにくの天候だったが、72名収容のミーティングルームは満員、やさしいオーラに包まれた。
基調講演の講師は、元NHKアナウンサーで、現在は国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)が運営する医療型短期滞在施設「もみじの家」ハウスマネージャー、内多勝康さんである。
「医療的ケア児」とは、医療の発達によって「乳児・新生児の救命率」が急激に上昇した一方で、重い病気をもって生まれてきた子どもがNICU(新生児集中治療室)での治療が終了したあとも、医療的ケア(食事のためのチューブを胃に通す“経管栄養”、呼吸のための器具を喉にとりつける“気管切開”、“たんの吸引”や“酸素吸入”のケア)を継続的に受ける必要がある子どもをいう。その説明を聞きながら、最初に「この子どもたちは、24時間、365日、経管栄養やたんの吸引、酸素吸入を受けないと生きられない」というマイナス面を考えてしまったが、内多さんがさらに「○○がないと生きられない、ではないのです。○○があればふつうに生きられる、ということです」と続けたことから、重い病気を背負ったわが子を必死で介護するご両親の心に希望の灯をともす、内多さんの〈いのち〉のことばに、心のあたたかさを感じた。
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