連載コラム「白耳義通信」39
「2019年を振り返って」
連載 2019-12-20
鍵盤楽器奏者 末次 克史
後10日ほどで2020年を迎えようとしています。今年も色々なことがありました。個人的に印象に残った出来事を記したいと思います。
先ず7月に気温が40℃まで上がったこと。ここ数年4月に30℃台、6月に40℃を記録するなど、これも地球温暖化の流れなのでしょうか。そのせいか分かりませんが、ベルギーではいない筈のハゲタカがフランスやスペインから飛来するようになりました。また先日はドイツから狼がやって来たことが観察されたばかりです。来年は一体何がやってくるのでしょうか。
また至るところで地球温暖化対策が進んでいます。2025年にはディーゼル車が廃止。それを皮切りに自動車の完全電化。2050年には屋内でガス、石油が使用できなくなるようです。気の早い人は既に家の建替えをしている位です。2基稼働している原子力発電所も廃炉に。完全電力化されたらこれらの電力は一体どこから供給されるのでしょうか。
政治の世界ではベルギーで初めての女性首相が誕生しました。しかしニュースで殊更「初の女性首相誕生!」という点ばかりが取り上げられないところをみると、ベルギーは成熟しているのかも知れません。労働賃金をみると男性と女性の格差は少しあるものの、政治の世界では女性だろうが男性だろうが能力があれば関係ないといったところでしょうか。
それからシャルル・ミッシェル(Charles Michel)前首相が第3代EU大統領に選出されました。初代ヘルマン・ヴァン・ロンポイ(Herman Van Rompuy)に続いて二人目のベルギー人です。英国離脱問題を抱えているEU。これからの舵取りは大変かも知れません。
明るい話題といえば、2016年3月の連続爆破テロ以降クリスマス・シーズンも少し元気が無かったベルギーですが、ようやく賑やなクリスマスが戻ってきました。ブリュッセルのグランプラスに立つクリスマスツリーもここ10年で一番大きい樅の木が飾られています。
空港ではライフルを持った兵士の姿を見かけますが、街中では殆ど見かけることもなくなり、すっかり元気を取り戻したベルギーです。街の飾り付けも例年よりゴージャスになっているようにも思います。亡くなったものを元通りに復活させることはできませんが、過去から学んで新たに再生させる力があることを実感しています。
では皆様、素晴らしいクリスマスと良い新年をお迎えください。
Prettige kerstdagen en Gelukkig Nieuwjaar!
Joyeux Noël et Bonne Année!
【プロフィール】
末次 克史(すえつぐ かつふみ)
山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。
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