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白耳義通信 第78回

「ベルギー人の名前の由来」

連載 2023-03-20

 日本では啓蟄の頃になると酷くなるのが花粉症。日本でスギ花粉に反応していても、ベルギーには杉があまり植えられていないので、3月に悩まされることはないのだが、4月に入ると白樺の花粉が飛散するので、このアレルギーを持っている人は3月に入ると薬を飲み始め、花粉症対策の準備に入る。一年で一番好きな季節ではあるけれど、これさえなければ… と思うこともしばしばである。

 さて、皆さんは自分の姓の由来をご存知だろうか。最近はネットで直ぐ調べられるようになったので、ネットサーフィンをしている最中に、ふと思い立って調べられた方もいらっしゃるのではないだろうか。わたしの「末次」という姓は、なんでも今の島根県の出雲か広島県の安芸の末次村や末次庄が起源らしい。

 1997年の調査によると、ベルギー人の姓は現在約30万姓あるらしい。ベルギーに来て暫くたった時、ベルギー人から「大昔は姓なんてものは無かったけれど、姓を持つことになった時、ベルギー人は真面目だから地域に由来するような名前を付けたが、オランダ人は「こんな制度は直ぐ無くなるに決まっている」と考えたので、適当につけたので面白い姓が多い」と聞いたことがあるが、今回はベルギーの姓について取り上げたい。

 人々が姓を持つようになったのは中世にまで遡るそうで、大勢の人が都市に集中し、共同生活を送るようになり、同じ名前を持つ多くの人を区別する為に「姓」を持つようになったらしい。多くの場合、人々は父親の名前に因んで名付けられるようになり、場合によっては母親の名前からも取られるようになったようで、ペートル Peter の息子のヤン Jan の場合ヤン・ペートルス Jan Peeters と名乗るようになり、マリー Marie の娘ユリア Julia の場合ユリア・マリーエン Julia Mariën と名乗るようになったようだ。

 他にも職業によって姓が付けられ、パン屋ならデ・バックル De Bakker、漁師ならデ・ヴィッスル De Visser と、接続詞の De を付けて「パン屋の誰々」「漁師の誰々」などと呼ばれるようになったそうである。

 その他にも住んでいる場所に関係するもの、例えば「ライオン」という屋号の旅館の近くに住んでいたら De Leeuw、「雄鶏」という屋号の店の近くに住んでいたら De Haan と名付けられたようである。また、適当な職業や場所が無い場合、その人の外見からも名付けられたようで、金髪の人は De Witte(wit はオランダ語で白を意味する)、大柄な人は Lange(lang はオランダ語で長いを意味する)と名付けられたそうだ。

と、ここまでオランダ語の achternaam(英語の Last name)を「姓」としてきたけれど、地域や所有地に由来するのであれば、「名字」とした方が良いのだろうと、このコラムを書くために調べて勉強になった今月の白耳義通信でした。

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