連載「つたえること・つたわるもの」(76)
ナチュラル・ダイイング、自然な〈お迎え〉を阻むもの。その1
連載 2019-10-24
ナチュラル・ダイイング・プロセス(自然死に至る準備過程)における生理学的変化、つまりクオリティ・オブ・デス(安らかな死)へとつながる〈お迎え〉現象は、神様からのギフトだと、岡部さんは言う。
患者さんが胃ろうを望むのは、死を受け止めきれない不安からである。「ちゃんとあの世に逝けるんだから、余計なことしなくて大丈夫だよ」と言われて納得できるなら、つらい思いをする胃ろうなんて望むはずがない。胃ろうは患者さんの死生観の問題と、医者の言うことは正しいという医療側への信仰が造設させてしまうのである。もっとも、患者さんが自己選択できるなら、そんなややこしいことにはならない。問題は、患者さんが自己選択できない場合である。そのとき胃ろうを造設するかどうかを判断するのは家族だから、家族の死生観が大きく影響する。(中略)
(同書229ページ)
うちの若い医者や看護師には、「点滴やるな、自然に見守っていろ」とよく言ったが、いちばん慣れなかったのは「黙って見守る」ことだったそうである。医療者は何もしないで見守るというのはとてもつらく、条件反射的に手を出したくなるようだ。私は、ナチュラル・ダイイング・プロセス、つまり自然に亡くなっていく人の状態を頭に思い描き、それをモデルにして、そこに近づけることが終末期医療のあるべき道筋ではないかと思っている。(中略)自然死というのは、本来、何もしないことであり、苦痛があるなら医療的サポートで苦痛がとれるようにしましょうということで、医療の管理下におくことではない。そうすると、重要なのは「見守り」なのである。
(同書191ページ)
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