連載「つたえること・つたわるもの」(64)
声に出して読みたい『萬葉集』、琉歌で詠まれた『歌声の響き』。
連載 2019-04-23
この「琉歌」もまた、万葉仮名(歴史的かな遣い)で詠まれた『万葉集』の和歌(やまとうた)と同じように、ウチナーグチ(沖縄口)という歴史的仮名遣いで詠まれたすばらしい詩歌である。
やはり初の沖縄訪問後に詠われた2首の「琉歌」と、天皇即位後に歌会始で発表された2首の「御製」を、どちらも声に出して詠唱してみよう。あと9日で「平成」31年は終わり、「令和」元年がくる。
☆ ふさかいゆる 木草めぐる戦跡 繰り返し返し 思ひかけて(生い茂っている木草の間を巡ったことよ 戦いの跡にくりかえし思いを馳せながら)/フサケユル キクサミグルイクサアトゥ クリカイシガイシ ウムイカキテイ
☆ 花よおしやげゆん 人知らぬ魂 戦ないらぬ世よ 肝に願て(花を捧げます 人知れず亡くなっていった魂に対して 戦いのない世を心から願って)/ハナユウシヤギユン フィトゥシラヌタマシイ イクサネラヌユユ チムニニガティ
☆ 戦(いくさ)なき世を歩みきて思ひ出づかの難(かた)き日を生きし人々
(平成17年、歌会始、お題は「歩み」)
☆ 万座毛(まんざもう)に昔をしのび巡り行けば彼方(あがた)恩納(おんな)岳さやに立ちたり
(平成25年、歌会始、お題は「立」)
【プロフィール】
原山 建郎(はらやま たつろう)
出版ジャーナリスト・武蔵野大学仏教文化研究所研究員・日本東方医学会学術委員
1946年長野県生まれ。1968年早稲田大学第一商学部卒業後、㈱主婦の友社入社。『主婦の友』、『アイ』、『わたしの健康』等の雑誌記者としてキャリアを積み、1984~1990年まで『わたしの健康』(現在は『健康』)編集長。1996~1999年まで取締役(編集・制作担当)。2003年よりフリー・ジャーナリストとして、本格的な執筆・講演および出版プロデュース活動に入る。
2016年3月まで、武蔵野大学文学部非常勤講師、文教大学情報学部非常勤講師。専門分野はコミュニケーション論、和語でとらえる仏教的身体論など。
おもな著書に『からだのメッセージを聴く』(集英社文庫・2001年)、『「米百俵」の精神(こころ)』(主婦の友社・2001年)、『身心やわらか健康法』(光文社カッパブックス・2002年)、『最新・最強のサプリメント大事典』(昭文社・2004年)などがある。
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