【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、当限の上昇に期先が抵抗
連載 2019-01-28
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=193.40円まで上昇した後、180円台前半まで軟化する展開になった。TSRは150円台後半まで上昇した後、150円台前半まで軟化し、前週比ではほぼ横ばいになっている。
産地相場高を背景にRSSの当限は一時211.00円まで上昇した。年初からの約3週間で22.0%の急伸地合になっている。ただ、期先限月が当限主導の上昇地合に抵抗を見せる中、期先は昨年5月30日以来の高値を更新したものの、190円台を維持できずに上げ一服となっている。
上海ゴム先物相場も、中心限月ベースでは1トン=1万2,000元の節目を打診するも、その後は1万1,000元台中盤まで軟化しており、産地主導の上昇相場に抵抗を見せ始めている。
タイ中央ゴム市場の現物相場は、1月24日時点でUSSが前週比0.7%安の1キロ=43.54バーツ、RSSが同1.7%高の46.93バーツとなっている。22日までは明確な上昇トレンドを形成していたが、同日の消費地相場の急落を受けて、産地相場も上げ一服となっている。
タイではウインタリング(落葉期)が本格化する時期を迎え、目先は4月前後に向けて季節要因から供給量の減少が続く見通しになっている。ただ、期先限月は6月限から7月限に移行するなど、明確に減産期を外れる時期になっており、産地相場と連動した当限主導の上昇地合に対して抵抗を見せ始めている。
過去を振り返ってみても、期先限月が上昇しやすいのは10月から1月までであり、2-6月にかけては下落する傾向が強い。過去10年の平均値幅だと、12月の20.44円高、1月の10.50円高に対して、2月は2.11円安になっている。
昨年を振り返ると、2017年11月21日に始まった上昇相場は、1月16日でピークアウトした。18年の上昇相場も11月21日から始まっているが、季節要因に基づく上昇圧力の限界が意識され始めている。
このため、季節要因に基づく上昇相場にはブレーキが掛かり始めており、今後は生産国政府が減産期明け後も供給量が抑制されるストーリーを描けるか否かが問われることになる。仮に生産国政府が実効性のある市況対策を打ち出すことができれば、供給量の抑制状態が長期化するとの見方から、改めて期先限月に対しても買い圧力が強まる可能性はある。ただ、有効な市況対策を打ち出すことができなければ、季節要因の支援が薄れる動きと連動して、調整リスクが高まる。
また、30-31日に予定されている米中の閣僚級通商協議の結果もイベントリスクとして注目される。
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