【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、年初から産地主導で急伸
連載 2019-01-14
マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努
TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=180円台前半、TSRが150円台中盤まで、それぞれ年初から急伸する展開になった。RSSは昨年末の170.20円から、1週間強で最大17.00円の急伸地合を形成している。昨年6月8日以来となる、約7カ月ぶりの高値を更新している。
上海ゴム相場も1トン=1万1,000元水準をボトムに、1万1,000元台中盤から後半まで切り返しており、概ね10月下旬の価格水準を回復している。
材料視されているのは、引き続き産地相場の堅調地合である。今年は年末・年始を挟んで世界的な株価急落が観測され、グローバル経済の減速リスクに敏感なマーケット環境になった。しかし、こうした不安定な投資環境にあってもゴム産地相場の堅調地合は維持されており、それが東京ゴム相場も押し上げる展開になっている。
タイ中央ゴム市場の現物相場は、1月10日時点でUSSが前週比5.6%高の1キロ=43.54バーツ、RSSが同3.5%高の45.53バーツと急伸している。特別に目新しい材料が浮上している訳ではないが、減産シーズンに向けて安値修正を進める動きが維持されている。足元で集荷量が特別に大きく落ち込んでいる訳ではないが、1月下旬にはタイでウインタリング(落葉期)が本格化することもあり、産地相場の堅調地合が消費地相場も支援する展開が維持されている。
一方、中国国家統計局によると、12月の製造業PMIは前月の50.0から49.4まで低下した。また財新によると同50.2から49.7まで低下している。いずれも活動の拡大・縮小の分岐点となる50ポイントを割り込み、中国経済活動の減速が加速していることが示されている。
ただ、中国政府がインフラ投資拡大などの各種景気刺激策を打ち出す中、中国経済リスクの広がりは一時的なものに留まっている。また、1月7-9日に米中通商協議が行われているが、通商合意に向けての協議が進展しているとの観測も、ゴム相場を支援している。
世界の株式相場は年末年始で急落と急反発を繰り返す極度の不安定化状態に陥ったが、その後は株安修正の動きもみられ、リスクオフ型のゴム相場急落は回避されている。
引き続き焦点になるのは産地相場の動向であり、昨年から続く減産期型の上昇地合が維持されれば、東京ゴム相場も一段高が打診される。上値抵抗は190-200円水準まで切り上がっている。
一方で、急ピッチな上昇で過熱感が強くなっていることは間違いなく、株安、円高、原油安など外部環境の悪化がみられると、調整売り圧力が強まるリスクは高まっている。
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