連載「つたえること・つたわるもの」(52)
新卒一括採用――終身雇用制、日本独自の「苗代」という方法。
連載 2018-11-13
編集工学研究所所長・松岡正剛さんは『誰も知らない世界と日本のまちがい』(春秋社、2007年)の第十一講(日本の苗代をとりもどしたい)の中で、田んぼに種もみを直播きするのではなく、まず「苗代」である程度成長させてから田んぼに移し替える、日本独特の「苗代という方法」について述べている。
こうした日本の稲作でとくに注目するべきことは、いったん蒔いた種を「苗」にして、それをふたたび田植えで移し替えるという方法をとっていることでしょう。(中略)
日本の稲作は、つまり、ダイレクトに育てないわけです。そのまま大きくしていかない。いったん苗代という仮の場所に種をまいて、ちょっと育て、その苗を田んぼに移し替えて、それから本格的に育てていくんです。いわば間接話法です。部分の重視です。
苗代は、とても大事な「日本という方法」です。それがあることによって、成長が二段階に組み立てられ、やがて育つべきものたちの「幼少性」をいつくしめます。
そして、このような農作方法が、おそらく日本の田園というものの根本の単位をつくったんです。
(同書434~436ページ)
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