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連載コラム「白耳義通信」23

「フラワーカーペット」

連載 2018-08-21

鍵盤楽器奏者 末次 克史

 日が段々短くなってきたベルギーです。と言っても日没は21時くらいですが… 今月は皆様にどうしても紹介したいイベントがあったので、更新が少し遅れました。

 2018 FIFA ワールドカップ・ロシア大会で、これまで最高の3位に輝いたベルギーサッカーチーム。この結果を大舞台に弱いとみるか、良くやったとみるか意見が分かれるところだけれど、ベルギー国内が大いに湧いたことに間違いはないだろう。その祝勝会が首都ブリュッセルにある広場 Grote Markt(蘭)Grand-Place(仏)で行われたのが大会終了後直ぐのこと。大勢の人々が集まって選手を祝福していた。こういう時フランスなら国歌「ラ・マルセイエーズ」La Marseillaiseが自然と口ずさまれるのだろうけど、オランダ語とフランス語で歌詞が違うベルギーでは望むべくもない。ベルギーにナショナリズムが育たないというより、そもそもこの国にナショナリズムというものは無いと言った方が適切なような気もする。

 さて、その広場で2年に1回開かれるのがフラワーカーペット Bloementapijt(蘭)Tapis de Fleurs(仏)である。大抵日本のお盆の頃、木曜の夜から日曜の4日間に掛けて行われる。1971年から始まり今年で21回目を迎える。毎回テーマがあり今年はメキシコ(因みに前回2016年は日本)。50万本のベゴニアがボランティアの手によって並べられた。今年は猛暑のせいもあったのか、使用された花の数がいつもより少なく、その分ウッドチップが多めのようではあった。

フラワーカーペット


 写真は広場にあるパンの家(王の家)Broodhuis(蘭)Maison du Roi(仏)のバルコニーから撮ったもの。反対側の市庁舎 Stadhuis(蘭)Hôtel de ville(仏)のバルコニーから見た方が正面側になるのだけれど、あまりの人に断念した。

 この広場から坂道を登って辿り着くこと15分。王宮広場 Koningsplein(蘭)Place Royale(仏)の直ぐ近くに建つブリュッセル王宮 Koninklijk Paleis(蘭)Palais de Bruxellesでは毎夏内部が無料で一般公開される。普段はなかなか入ることができない場所なので、8月にブリュッセルへ来られた方には是非足をのばされることをお勧めしたい。

ブリュッセル王宮


 他にも南駅 Brussel-Zuid(蘭)Bruxelles-Midi(仏)近くでは移動遊園地が滞在。名物は観覧車で、日本のものより回転が速い。数年前までは覆いの無い座席だったので、高所恐怖症でなくともヒヤッとしたものである。次回のフラワーカーペットは2020年。東京オリンピックが終わった後、フラワーカーペットに合わせてお越しください。

【プロフィール】
 末次 克史(すえつぐ かつふみ)

 山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。

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