ビジネスガール、オフィスレディ、キャリアウーマン、キャリジョ。

　同書の副題に「多様化する生き方・考え方」とあるように、単なるラベリングではなく、働く女性が自らの立ち位置を見つめ直す、ひとつのきっかけになるだろう。ちなみに「キャリジョ」とは、ゆるキャリ（仕事よりも家庭や趣味などのプライベートを優先した働き方）からバリキャリ（仕事での成長や成功を生活の中心とした働き方）まで、ニュートラルに「キャリア（職業）を持つ女性」のことである。

　同書ではキャリジョクラスターを7つの集団に分類している。以下にその要約を紹介する。括弧内は（①年齢、②年収、③小遣い、④職業、⑤カバンの中身）の順に記した。

★モーキャリ11.5％）
　生活全部に全力投球のモーレツキャリア（①27.0歳、②346.0万円、③50,364円、④営業・企画職が多め、⑤ブランドの長財布＆名刺入れ、コンパクトに折りたためるペタンコシューズ）

★ちょいキャリ（9.7％）
　家族との幸せを最優先、ちょいっとキャリア（①27.3歳、②328.1万円、③48,298円、④一般職の事務系、⑤ポイントカードやクーポンが入った折りたたみ財布、キャラクターのお弁当）

★割りキャリ（14.1％）
　趣味重視で我が道を行く、割り切りキャリア（①27.9歳、②339.6万円、③39,783円、④一般職の事務系が多め、⑤雑貨屋で買ったシンプルな合皮の長財布、漫画の新刊）

★プロキャリ（13.3％）
　仕事一筋のスペシャリスト、プロフェッショナルキャリア一（①27.4歳、②333.0万円、③35,630円、④技術・専門職が多め、⑤黒のシンプルな長財布、資格の本・筆記用具・ノート・メガネ）

★乗っキャリ（15.1％）
　自分磨きで玉の輿を夢見る、乗っかりキャリア（①27.4歳、②348.2万円、③50,651円、④一般職の事務系、⑤ピンクのオトナかわいい折りたたみ財布、姫系コスメ）

★凡キャリ（21.6％）
　何事も現状維持志向、平凡キャリア（①28.1歳、②376.6万円、③41,466円、④一般職、⑤シンプルな折りたたみ財布、色つきリップ、タッパーのお弁当箱）

★キラキャリ（14.8％）
　いいね！モンスター、キラキラキャリア（①27.3歳、②378.9万円、③42,025円、④専門職が多め、⑤ビビッドなカラーのブランド長財布、軽い一眼カメラ、タブレット端末・イヤホン・モバイルバッテリー）

　インターネットでの評判には、「働く女の腹の底」と言うほどの洞察はなく、単なる「キャリジョの7分類」だという辛口のコメントもあるが、そもそも「キャリジョ」をサラッと７分類にスケッチしてみせたところに、同書の特色があるのではないだろうか。

　まだ主婦の友社に在籍していた18年前、『話を聞かない男、地図が読めない女―男脳・女脳が「謎」を解く』（アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ共著、主婦の友社、2000年）が、100万部を超えるミリオンセラーとなった。ちなみに出版部の担当編集者には、社長賞として100万円が贈られたのだが、同書のメインユーザーは「話を聞かない男」に不満を持つ「地図が読めない女」（女性読者）たちだった。

　さて、『働く女の腹の底』を書店で立ち読みするのは、キャリジョにやさしく気を遣う男性管理職だろうか、あるいは同性に対してきびしい目を光らせる女性管理職だろうか。キャリジョの皆さん、ご用心！