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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、人民元安で上海が下げ一服

連載 2018-07-02


マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、6月26日に1キロ=170.20円まで下落して2016年10月以来の安値を更新した後、175円水準まで小幅切り返す展開になった。

 産地集荷量の増加に伴う現物相場安、米中貿易摩擦を受けての景気減速懸念とリスクオフ圧力がゴム相場の下値切り下げを促す流れは維持されている。ただ、上海ゴム相場が1トン=1万元の節目割れに抵抗を見せて自立反発的な動きを見せる中、東京ゴムも下げ一服となり、170円の節目割れからの更なる値崩れは回避されている。

 産地の気象環境は、引き続き安定している。適度の降雨が報告されており、農産物生産に特段の障害は報告されていない。一部地域では土壌水分がもう少し増加した方が好ましいといった報告もあるが、東南アジア全体としては集荷量の増加、現物相場安を促す環境に変化はみられない。ただ、足元では売り渋り気味の動きも報告されており、現物相場は下げ一服となっている。6月28日時点だとUSSが前週比1.0%高の1キロ=43.91バーツ、RSSが同0.5%高の46.45バーツであり、今季最安値圏での取引ながらも、値下り傾向には一定のブレーキが掛かっている。

 一方、上海ゴム相場は6月19日の1万0,050元をボトムに1万0,500元水準まで切り返している。単純な自立反発の可能性もあるが、中国通貨人民元相場が急落している影響もありそうだ。米中貿易摩擦を受けて人民元に対して強力な押し下げ圧力が発生しており、人民元建てコモディティ市場全体に通貨要因に基づく上昇圧力が発生している。実際に、鉄鉱石や石炭相場などもリバウンドしており、通商リスクを背景に急落しているロンドン非鉄金属相場とは対象的な値動きを見せている。

 米中関係悪化を受けて、中国政府が輸出落ち込みをカバーするために意図的に人民元安誘導を行っている可能性も指摘されているが、過度の人民元安は中国からの資本流出リスクを高めることになり、中国政府がどのレベルまでの人民元安を容認するのかは、ゴム市場においても重大な関心事になる。引き続き需給要因からは上昇する必要性が乏しい相場環境だが、人民元安主導の上海ゴム相場高が、東京ゴム相場も押し上げる新たなシナリオが浮上していることには注意したい。

 コスト環境からみた下げ過ぎ感も意識されるが、農家の抗議デモや生産国政府の市況対策といった新たな動きは報告されていない。産地主導で安値に抵抗を示す動きは鈍い。

 なお、TOCOMはTSR20号について10月9日の取引開始見通しを発表している。

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