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連載コラム「白耳義通信」⑮

「フレンチトースト」

連載 2017-12-13

鍵盤楽器奏者 末次 克史

 フレンチトーストfrench toastと言えば子供の頃、日曜日になるとよく母親が作ってくれていた記憶があります。このフレンチトースト、仏語で何と呼ぶかご存知でしょうか。実は「パン・ペルデュ」pain perdu(失われたパン)と呼ばれ、フランスに行って「フレンチトースト」と言っても通じません。

 同じくベルギーで話されている蘭語では「ゲウォヌン・ブロート」gewonnen brood(勝ったパン)と呼ばれます。同じ食べ物なのに片や失ったパン、片や勝ったパンと、言語によって考え方の違いを(仏語では固くなったパンを蘇らせるという意味では有りますが)見て取れる面白い例だと思います。

 日本では食パンを使いますが、こちらではフランスパンを使用します。このフランスパンですが、ベルギーでは仏語で「パン・フランセ」pain français、蘭語で「フランス・ブロート」frans broodと呼ばれます。が、フランスではバゲットbaguetteと呼ばれています。日本でも最近はバゲットと呼んでいる店が増えてきていますね。

 これは実際にあった話なのですが、ベルギー人がバゲットを買いにフランスのパン屋に行っていつものように「フランスパンを下さい」と言ったところ、「うちに売ってるパンは全てフランスのパンだよ!」(français は「フランスの」という意味がある)と言われたそうです。フランスパンを見る度にこの話しを思い出して一人笑ってしまいます。

 ちなみに先日インド人の知り合いと話していた時、たまたまフレンチトーストの話になって、『インドでも「フレンチトースト」と呼んで作るけど、フランス人に「フレンチトーストって美味しいよね」と話したら変な顔をされた』という話を聞いて、今月の話題として取り上げました。

 最近では和製英語だと言って馬鹿にしたり恥じたりすることがありますが、言葉の由来、考え方の違いを話し合う良い切っ掛けになると思うのですが、如何でしょうか?

 寒くなって参りました。大寒波が押し寄せ空港が閉鎖されたりと、ベルギーだけでなくヨーロッパの天気はここのところ荒れ模様です。今年一年お付き合い頂きどうも有難うございました。

Joyeux Noël et Bonne Année!
Prettige kerstdagen en Gelukkig Nieuwjaar!

【プロフィール】
 末次 克史(すえつぐ かつふみ)

 山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。

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