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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、5カ月ぶり高値圏で横ばい

連載 2020-08-24

(マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努)
 JPX天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=170円台中盤をコアに揉み合う展開になった。8月7日に約5カ月ぶりの高値となる179.40円を付けたが、その後は180円台回復には至らず、狭いレンジでの小動きに終始した。

 上海ゴム先物相場も8月7日の1トン=1万2,700元をピークに上げ一服となったが、1万2,000元台前半から中盤で方向性を欠いた。

 消費地相場は方向性に乏しい展開になったが、産地相場は急ピッチな上昇地合を維持している。タイ中央ゴム市場の現物相場は、8月20日時点でUSSが前週比3.2%高の1キロ=48.12バーツ、RSSが同3.2%高の50.18バーツとなっている。ともに昨年7月以来の高値圏での取引になっている。USSは4~5月にかけて40バーツ台を割り込む展開が続いていたが、8月19日に50バーツの節目を回復しており、トレンドは上向きであることが明確に確認できる。

 産地の気象環境は不安定化しており、今季はラニーニャ現象発生の可能性が高まっていることは、日本の気象庁も報告している。タイでは干ばつ傾向が強い一方、インドネシアやマレーシアなどでは熱帯性サイクロンによる局地的な豪雨が観測されている。また、新型コロナウイルスの感染拡大を受けての労働力需給の混乱に対する警戒感も根強い。

 必ずしも産地の集荷量が大きく落ち込んでいる訳ではない。タイ中央ゴム市場でも7月と比較すると8月の集荷量は若干ながら上向いている。しかし、需要環境の正常化が着実に進んでいるだけに、需要と供給とのバランスが乱れた状態が続いている。需要サイドに対して、供給サイドの回復が相対的に遅れていることが、産地相場の急伸地合を促している。

 中国の7月新車販売台数は前年同月比16.4%増であり、4カ月連続のプラス成長になっている。2ケタ増は3カ月連続になる。

 主に政府のインフラ投資拡大によってトラックなどの商用車販売が上振れしている影響だが、タイヤ販売環境の改善が進んでいるのは明らかである。需要環境の改善が着実に進めば、供給制約の強さがさらに深刻な問題になり得る。このまま産地相場高が維持されるかが、8月下旬のゴム市場における焦点になる。

 問題は、産地相場高が消費地相場高に直結していないことだ。ロンドン非鉄金属相場高など産業用素材市況は全般的に値上がり傾向が強くなっている。こうした中でも上海ゴム相場は方向性を欠いている。産地相場と上海相場との間にあるバランスの乱れが、どのような形で解消されるのかが注目されている。

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