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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、米自動車関税警戒も横ばい

連載 2025-02-24

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=365~380円をコアに揉み合う展開になった。米通商環境の先行き不透明感、為替が円高気味に推移したことが上値を圧迫するも、底固さもみせている。週を通じて売買が交錯する不安定な地合になった。

 上海ゴム先物相場は1トン=1万8,000元水準でやや底固い展開になった。通商問題の先行きに対しては高いレベルの警戒感があるものの、鉄鉱石や非鉄金属相場が底固さを維持していることもあり、ゴム相場も2024年12月18日以来の高値を更新した。

 米中間では関税の応酬が始まったが、中国の景気リスクを本格的に織り込んでいくような動きは見送られている。トランプ米政権は2月13日、貿易相手国と関税負担を対等にすることを目的とする「相互関税」の導入も発表しているが、各国への対応を決めるための調査には数週間から数カ月が必要とみられ、さらに交渉の余地を示しているため、一気にリスクオフ化が進む展開は回避されている。

 トランプ米大統領は4月2日頃に自動車輸入に対する関税を発表する見通しを明らかにした。税率は「25%程度」になる見通しだ。実際に25%もの関税が発動すれば、事実上の禁輸措置と同等の影響が生じる可能性もあるが、ゴム相場の大きな値崩れは回避されている。トランプ政権は、米国で販売する自動車を米国内で製造することを強く求めているが、実際に各国に対してどのような対応が講じられるのかは不透明感が強い。結果的に売買が交錯しながらも、上海ゴム相場は底固さの方が目立つ展開になった。

 タイ中央ゴム市場(ソンクラ地区)のRSS現物相場は、2月20日時点で前週比0.6%高の1キロ=73.44バーツとなった。売買が交錯する不安定な値動きだが、産地相場は全体的に底固さが目立った。東南アジアやアフリカではウインタリング(落葉期)が始まっており、季節的な減産圧力が意識されやすくなっている。例年だと4月に向けて一段と供給量は抑制される。また、タイなどの一部では引き続き豪雨被害も報告されている。積極的に天候リスクのプレミアムを加算していくような動きまではみられなかったが、減産期と産地天候不順もゴム相場を下支えした。

 一方、為替が大きく円高に振れていることは、円建てゴム相場に対してネガティブ。日本の長期金利が2009年11月以来の高水準に達したこともあり、1ドル=150円の節目を一時下回り、2024年12月9日以来の円高・ドル安になった。円建てゴム相場は値下がりしやすい環境だったが、トレンド形成は見送られたため、底固さをみせたとの評価も可能だった。

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