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連載コラム「ゴム業界の常識・非常識」(33)

日本の合成ゴム産業はサステナブルな産業か?

連載 2022-04-05


加藤事務所代表取締役社長 加藤進一

 日本の合成ゴム製造産業は持続可能な産業か? もちろんそう願っています。しかし製造プラントの老朽化が問題になってきています。日本ゼオンの川崎NBR工場は1959年操業開始、JSRの四日市SBR工場は1960年操業開始、昭和電工の川崎CR工場は1963年操業開始、旭化成工業が川崎のSBR工場は1964年操業開始でした。これらは操業開始からすでに60年以上経過しています。そのころにはいろいろな化学会社が合成ゴム生産計画をもっていました。有機合成化協会誌1962年発行第20巻2号によると、宇部興産がBRとIR、旭化成はBRとIRも、ブリヂストンタイヤがBR,昭和電工がBRとIR、東亜燃料がブチルゴム、鐘ヶ淵化学がクロロプレンゴム、電気化学がクロロプレンゴム、東洋高圧と三井化学がNR,IR,ブタジエンゴム、日本石油化学がBR,住友化学がBRとブチルゴムと多くの化学会社が合成ゴム生産計画をもっていたとの記事があります。EPDM工場ができるのはそのずっと後です。

 化学工場は操業50年を超すと、毎日メンテナンスをしていてもあちらこちらが傷んできます。重合反応器もそうですが、ポンプ、駆動部、センサー、冷却装置、蒸留分離装置、交換が必要になってくる箇所が増えてきます。部品のコストが上がり、さらに技術検討をするコスト、交換する作業員のコストもこのところかなりコストアップになってきました。特に労働基準法の「時間外労働の上限規制」により結果1、2年に一回の定期修理工事の期間、プラントが停止している日数が増えました。定期修理の人件費も上がりましたが、また1年間で合成ゴム工場が操業できる日数が減り、結果、製造コストがあがりました。海外ではこのような規制が少ないので、もっと長期間、連続運転が可能です。

 日本の合成ゴム生産量は全社分合わせて160万トン程度で、一方全世界の合成ゴム生産量は、2019年は1,513万トン(IRSG調べ)で、国別では、1位の中国が317万トン、2位米国が223万トン、3位韓国、4位ロシアで、5位が日本になります。

 一方消費量では日本の合成ゴム消費量は年88万トンで全世界の合成ゴム消費量の約6%弱です。 

 BCPの観点からも日本の合成ゴム産業は必ず必要です。そのために、合成ゴム産業が持続可能な産業であり続けるために、合成ゴムの消費者はそのメンテナンスコストを負担することが必要だと思います。フォーミュラー価格には、これらのコストが上がり続ける製造装置のメンテナンス費用が必ずしも含まれていない、またはそのコストアップ分が議論されていなかったと思います。やはりその議論が必要な時期に来ていると思います。

注:社名は当時のものです

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