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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、上海主導で安値低迷状態に

連載 2021-06-14

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=240円水準で揉み合う展開になった。上海ゴム相場が最近の安値圏で明確な方向性を打ち出せない展開になる中、JPXゴム相場も方向性を欠いた。上海ゴム相場が投機色の強い不安定な値動きを繰り返していることが嫌気され、売買見送りムードが目立った。

 上海ゴム先物相場は、1トン=1万3,000元水準で上値の重い展開が続いている。5月20日の直近安値1万2,920元を下抜き、中心限月ベースでの年初来安値を更新している。1万3,000元割れからの値崩れに対しては抵抗を見せているが、未だに明確な底入れ感形成には至っていない。

 上海ゴム相場の動向に振り回される展開が続いている。中国ではインフレ懸念から政府がコモディティ価格の統制を強化していることで、中国経済と関連の深い非鉄金属や鉄鉱石などと同様に、ゴム相場も不安定な値動きを迫られている。需給環境に何か目立ったネガティブ材料が浮上している訳ではないが、中国経済の予見可能性が低下していることが嫌気されている。

 中国では5月生産者物価指数が前年比9.0%上昇(前月は6.8%上昇)に達するも、消費者物価指数は同1.3%上昇(同0.9%上昇)に留まっている。上流部門で強力なインフレ圧力が発生しているが、下流部門に向けて価格転嫁できていないことが窺える。このままインフレ圧力が強くなっていくと、早くも政策引き締めや通貨人民元高誘導など景気にネガティブな政策対応を迫られるリスクが高まると警戒されている。

 一方、新車販売環境は良好であり、日本自動車工業会も「自動車販売、生産は想定よりも早く回復」していることに自信を示している。中古車市場も世界的に活況を呈しており、タイヤ需要環境に対しては楽観的な見通しが維持されている。半導体不足や部品供給を巡る混乱などが自動車生産のボトルネックになっているが、現段階では自動車やタイヤ需要見通しに本格的な下方修正を迫るには至っていない。

 供給サイドでは再び集荷量が抑制され始めている。ただ、産地主導で価格水準を押し上げるような動きは見られない。タイ中央ゴム市場の現物相場は、6月9日時点でUSSが前週比1.1%安の1キロ=62.10バーツ、RSSが同1.5%安の64.36バーツとなっている。もっぱら上海ゴム相場の値動きに連動しており、上海ゴム相場の上値の重さが、産地相場の上値も圧迫する展開が維持されている。産地相場の急落地合にはブレーキが掛かっているが、需要環境と同様に供給環境もあまり材料視されない地合が続いている。

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