連載「つたえること・つたわるもの」(93)
グーテンベルクの活版印刷、マヌティウスのノンブル発明。
連載 2020-07-14
ここでグーテンベルクの活版印刷、マヌティウスのノンブル発明をとり上げた理由は、専門家会議で作成されなかった〈幻〉の議事録、あるいは10年間は開示しない分科会の〈非開示〉議事録について、「今までの自分に疑いをもつ」ことの必要性を痛感したからだ。政府はCOVID19対策における「不都合な真実(無症状感染者の拡大=緊急事態、1年以上の長期戦=東京五輪の2021年開催は困難)」の隠蔽を目論んでいる。大手マスコミの敏腕記者のミッションは、これまでの〈幻〉の議事録を取材によって再現・検証し、今後は分科会で作成される〈非開示〉議事録のヴェールを剥がすことではないだろうか?
本コラムの引用文には、必ず書誌情報(著者、編者、訳者、出版者 出版年)と当該ページ数を明記している。これはオリジナル資料にたどりつくための位置情報であり、引用文がどのような文脈(プロセスの中)で書かれているかを知るための重要な手がかりとなる。出版者(社)は英語で「パブリッシャー」というが、これは世の中で必要とされている情報を、パブリック(公共的)なものにする、つまり、その情報を読みたい全ての読者に、出来るだけ安価にその情報(書籍・雑誌)を提供する人(会社)という意味である。
したがって、1455年に印刷されたグーテンベルク聖書が「今までの自分に疑いをもつ」きっかけとなり、マヌティウスが発明したノンブルが検索の手がかりとなったように、〈幻〉の議事録に記録されるはずだった討議内容(プロセス)を確認・検証するミッションは、大手マスコミにたずさわる記者にとっての緊急かつ重要な取材・編集活動である。安倍首相や西村大臣の発言をそのまま書くだけでは、本当の記事とはいえないはずだ。どこまでも真実を探求するマスコミ記者に、大いなる奮起をうながしたい。
【プロフィール】
原山 建郎(はらやま たつろう)
出版ジャーナリスト・武蔵野大学仏教文化研究所研究員・日本東方医学会学術委員
1946年長野県生まれ。1968年早稲田大学第一商学部卒業後、㈱主婦の友社入社。『主婦の友』、『アイ』、『わたしの健康』等の雑誌記者としてキャリアを積み、1984~1990年まで『わたしの健康』(現在は『健康』)編集長。1996~1999年まで取締役(編集・制作担当)。2003年よりフリー・ジャーナリストとして、本格的な執筆・講演および出版プロデュース活動に入る。
2016年3月まで、武蔵野大学文学部非常勤講師、文教大学情報学部非常勤講師。専門分野はコミュニケーション論、和語でとらえる仏教的身体論など。
おもな著書に『からだのメッセージを聴く』(集英社文庫・2001年)、『「米百俵」の精神(こころ)』(主婦の友社・2001年)、『身心やわらか健康法』(光文社カッパブックス・2002年)、『最新・最強のサプリメント大事典』(昭文社・2004年)などがある。
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