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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、200円の節目を前に足踏み

連載 2019-12-16


マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=200円の節目を前に上げ一服となっている。米中通商環境の改善期待を背景に、10月、11月と急ピッチな上昇相場が続いていたが、200円の節目を前に足踏み状態になっている。

 12月15日に米政府は対中追加関税の発動を予定しているが、通商協議が進展する中、追加関税発動の有無を見極めたいとのムードが支配的になり、薄商いの持ち高調整に終始している。12月6日の199.70円を最後に高値更新サイクルは一服したが、本格的に持高調整を進めるような動きまではみられず、190円台中盤から後半でボックス気味の相場展開になっている。

 上海ゴム先物相場も、1トン=1万3,000元台前半でほぼ横這いの展開になり、明確な方向性を打ち出せていない。

 タイ中央ゴム市場の集荷量には、特に目立った変化はみられない。現物相場は、USSが前週比1.2%高の1キロ=40.60バーツ、RSSが同0.4%安の43.21バーツとなっている。消費地相場の急伸地合が一服する中、産地相場も動意を欠いている。産地相場も10月以降は上昇トレンドを形成しているが、もっぱら消費地相場に主導された値動きだったことが再確認できる。産地主導の価格形成は見送られている。

 ゴム相場に限らずマーケット全体で、米中通商交渉の行方が注目されている。クリスマス休暇を前に通商合意に至れば、2020年の世界経済見通しは改善することになり、産業用素材市況全体に値上り圧力が強まることになる。逆に、通商協議が決裂するような事態になると、10月以降の楽観ムードは根拠を失うことになり、値下りリスクが一気に高まることになる。

 銅相場が約5カ月ぶりの高値を更新するなど、産業用素材市況全体に楽観ムードが目立ち、ゴム相場も総じて底固い展開を維持している。ただ、200円の節目水準に到達していることもあり、持ち高調整の動きが上値を抑えている。

 10月以降の東京ゴム市場ではファンドの売買動向が注目されているが、気迷いムードが目立ち始めている。12月11日の週は、ファンドの売りポジションが9週間ぶりに増加に転じ、ショートカバー(買い戻し)主導の上昇圧力は一服したことが確認できる。ただ、その一方で買いポジションが増加傾向を強め始めており、新規で買い進む動きが強まり始めていることも確認できる。

 安値修正の動きはほぼ一巡した格好だが、更に相場を押し上げるのか、米中通商協議の進展状況を眺めながら、ファンドがどのような動きを見せるのかに依存する、投機色の強い相場展開が続き易い。

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