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連載コラム「白耳義通信」③

「ベルギーの子供はお得?」

連載 2016-12-14

Town Hall(著者撮影)


鍵盤楽器奏者 末次克史

 去年のクリスマスシーズンはパリ襲撃事件(2015年11月13日)の影響で大変静かなブリュッセルであったけれど、今年はそれを取り戻すかのように街は大変賑やかである。

 毎年12月から翌年1月始めまで “Winter Wanders” と題し、グラン=プラス Grote Markt(蘭)Gland-Place(仏)には大きな樅の木とキリスト生誕を再現した馬小屋が建ち、市庁舎をバックに音と光のショーが模様される。

 近くの証券取引所界隈や旧魚市場にはクリスマスマーケットが立ち並び、ホットワインやホットビール、ホットチョコレートで体を温めつつ、大観覧車に乗ったり世界各国からやって来ている店を見て楽しんでいる。言うなればこれは大人の為の縁日だ。スケートリンクで楽しそうに滑っている子供はいるものの、基本的に子供だけで遊びにやってくるような所ではない。

 しかしそんな子供にとって大変楽しみなのがこの12月だ。それは何故かというと、ベルギーでは12月6日の聖ニコラの日と25日のクリスマスにプレゼントが貰えるからだ。特に聖ニコラは人気で、スペインから船に乗って港に到着する様子はテレビでも中継されるくらいだ。

 聖ニコラ Sinterklaas(蘭)Saint-Nicolas(仏)はトルコの聖人で、サンタクロースの元になった人。5日の夜、子供たちは欲しいものを書いた手紙と、聖ニコラが乗る馬に食べさせる人参を靴に入れ、側には水を置いて聖ニコラがやって来るのを待つ。

 実は聖ニコラにはお供のピート Zwarte Piet(蘭)Père Fouettard(仏)がいるのだが、顔を真っ黒に塗っていたことがちょっとした問題になっている。つまり差別に当たるのではないかという訳だ。「煙突を通るから顔にススがついた」ということで、そのように顔も塗るようになってきた。子供のお祭りも変わってきている。

【プロフィール】
 末次 克史(すえつぐ かつふみ)

 山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。

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