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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、安値修正続くも伸び悩む

連載 2019-10-21


マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=160円台前半まで切り返す展開になった。10月3日には年初来安値154.30円まで値下がりしていたが、上海ゴム先物相場が国慶節の連休明け後に底固さを見せていることで、東京ゴム相場は安値修正の動きを進めている。10月10-11日の米中通商協議で「第一段階の合意」に到達したことで、株高・円安が進行したこともポジティブ材料視されている。

 上海ゴム先物相場は、1トン=1万1,000元台中盤で底固さを見せている。上海株式相場は軟化しているが、これ以上の安値形成に対しては拒否反応を示している。ただ、上海ゴム相場主導で大きく上値切り上げを打診するような動きまではみられなかった。

 米中通商協議では、トランプ大統領が「第一段階の合意」に到達したことを報告している。米中両国の間に温度差がみられるが、通商協議が始まってから初めての個別項目での「合意」であり、大きな進展と言える。今後数週間をかけて合意文書を作成し、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、米中両国首脳が署名する方向で調整が進んでいる。

 ただ、既存の制裁・報復関税の撤回といった踏み込んだ対応が行われる訳ではなく、実体経済の減速に対しては根強い警戒感がある。国際通貨基金(IMF)も今年の世界経済成長見通しを7月時点の3.2%から3.0%まで引き下げており、10月は株価が堅調な一方で資源価格の低迷状態が目立つ。

 産地の気象環境は総じて安定している。インドネシアで降水量が少ないが、特に目立った供給障害は発生していない。タイ中央ゴム市場の現物相場は、10月17日時点でUSSが前週比2.2%高の1キロ=37.10バーツ、RSSが同1.9%高の39.52バーツとなっている。消費地相場で安値修正の動きが強まる中、下げ一服となっている。

 タイ政府は、ゴム農家を支援するための所得補償導入を決定した。保証価格を下回った場合、ゴム農家に直接支払いを行うことになり、総額240億バーツの予算が設定されている。ただ、こうした補助金交付は価格による需給調整機能を損なうことになり、短期的には農家の所得向上に寄与するが、その後は逆に需給緩和圧力がゴム相場を更に下押しするリスクを高めることになる。

 マレーシアでは、ゴム農家の6割程度でタッピング(樹液の採取)の停止が報告されるなど、コストの視点では下げ過ぎ感が強い。

 ただ、需要環境も同時に厳しさを増す中、需給タイト感を高めることは難しく、下げ一服感が強まりながらも本格的な反発は見送られる展開になっている。

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