連載「つたえること・つたわるもの」(72)
話し手が感動する話は、聞き手の琴線に触れると、涙があふれる。
連載 2019-08-27
2002年の夏休み、やはり「働く喜び、仕事の価値」のレポート(宿題)を課した武蔵野女子大学(現武蔵野大学)の学生たちも、このインタビューを通じて大きく成長した。その一部を要約して紹介しよう。
○ 兼業農家に育った学生Cの母親は、夏は午前四時半から田んぼの世話、七時半には会社に出勤する「2ジョブ」の超多忙な毎日である。もとより農業には一日も休みはないのだが、農作物にかけた愛情に「応えてもらえる喜び」を、実家にかけた電話で語ってくれたという。
○ 三十歳代サラリーマンの叔父に取材した学生Dは、「仕事はとても辛い」と口では言いながら、辛いはずの仕事を生き生きと語る、彼の表情が輝いているのを見逃さなかった。
○ ことし七十五歳になる大工の祖父をもつ学生Eは、「幼いころから、祖父の仕事を身近に見てきました。現場は五年前に引退しましたが、フリーになったいまのほうが、これまで建てた家の点検・補修で忙しく、職人に定年はないことを実感したそうです」と、今も続く祖父の仕事を作文に綴っている。
○ 学生Fの父親は、演劇界の舞台裏方で働く醍醐味を、学生Gの父親は長男ゆえに家業を継いだ初期の苦労といまの達成感を、そして学生Hの父親は「昔は働いたあとに、ようやく生活があった」という重いひと言に万感の思いが込められていた、とその感動を語ってくれた。
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