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連載コラム「ゴム業界の常識・非常識」⑯

中国のタイヤメーカーは何社ある?

連載 2019-05-08

加藤事務所代表取締役社長 加藤進一

 日本にはタイヤメーカーが5社あります。4社じゃないか?という声もありますが、ブリヂストン、住友ゴム工業、横浜ゴム、TOYO TIREに、あと日本ジャイアントタイヤの5社です。日本ジャイアントタイヤは米国グッドイヤー社の100%子会社で、オフ・ザ・ロードタイヤ(鉱山用タイヤ等)を1971年から兵庫県たつの市で生産しています。かつては東洋ゴム工業の子会社でした。2012年にグッドイヤーの完全子会社になりました。さらに昔は群馬県太田市にミシュランのタイヤ工場もありました。現在は工場は閉鎖。その工場はかつて岡本理研ゴム(今のオカモト)とミシュランとの合弁工場で、RIKEN(日本ではリケン、海外ではライケンと発音)というブランドのタイヤをつくっていました。

 世界的にみると、日本の人口1億人強の国にタイヤメーカーが5社もあること自体が不思議がられます。確かにヨーロッパには地元企業ではミシュラン、コンチネンタル、ピレリー、ノキアンぐらい。北米は地元ではグッドイヤー、クーパースタンダードの2社だけです。よく欧米のゴム人に、どうして日本にはタイヤメーカーが4社も残っているのと聞かれます。2社ぐらいでいいじゃないかとも言われています。

 韓国にはハンコックタイヤ(漢字で書くと韓国タイヤ)とクムホタイヤ(あのアシアナ航空や合成ゴムメーカーのクムホと同系列)とネクセンタイヤの3社があります。韓国のタイヤ会社も海外にタイヤ工場を持っています。だいたい現代自動車工場の近くにあります。

 では中国にはタイヤ会社が何社あるのでしょう?下の写真は中国にあるタイヤ工場分布の写真です(European Rubber Journalが発行する地図で当社の会議室の壁に張ってあるものの写真)。私の手元にある米国Rubber &Plastic News社のデータ「世界のタイヤ工場リスト」をみると、中国の中堅大手タイヤ会社と言われている会社だけでも100社はあります。特に山東省にその55%ぐらいが集中しています。

 中国政府は中小のタイヤメーカーを整理して、大手タイヤメーカーの傘下にいれて、競争力を増すようにしていますが、なかなか会社数が減らないようです。中国にはタイヤの作り方という本が売られています。かなり厚い技術本で、全5冊になっています。材料配合から、タイヤ製造機械、タイヤ設計、試験方法まで書かれていますので、この本を買えば、小さなタイヤ工場を始めることができると思うほどです。

 山東省に多いので、省の大都市青島市には中国のゴムのメッカの場所となり、RUBBER VALLEY 橡胶谷(シリコンバレーのゴム版)があります。ゴム研究所、大手材料メーカーの研究所、天然ゴムの取引所等があります。

 中国のタイヤ産業で気になることがあります。この数年、中国タイヤ会社が外国の大手タイヤ会社を大金で買収していることです。イタリアのタイヤメーカー ピレリーは2015年に中国政府系の大手化学会社中国化工集団が約8500億円で買収しました。今や会長も中国人です。取締役17名のうち6名が中国からのメンバーです。話はそれますが、ピレリーは会社が毎年作るカレンダーが評判でした。有名な写真家に撮影を依頼した美人(水着?)カレンダーで、日本のタイヤ関係者でもこのカレンダーを欲しがっている人が多いようです。

 韓国のクムホタイヤも2018年に中国の大手タイヤ会社双星タイヤ(ダブルスタータイヤ)に買収されました。同社は労使問題を抱え、かつクムホグループが財務的問題、財閥支配権問題もあり、結果韓国では買収する会社が現れず、そのチャンスに双星タイヤが約600億円で45%の株式を取得しました。

 中国はヨーロッパへのタイヤ輸出を悲願としています。そこでEUのタイヤメーカー、またはEUにタイヤ輸出実績が豊富なタイヤメーカーを買収することで、その材料、タイヤ設計、製造方法を一挙に手にいれたいということでしょう。

 最近EUの大手タイヤ機械メーカーに聞くと、中国のタイヤメーカーがこぞって最新のタイヤ製造機械を購入するケースが多いと聞いています。機械を購入すれば優れたタイヤがすぐに生産できるというわけではありませんが、その熱意はすごいそうです。

 今後も中国タイヤメーカーの動きには気になります。

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