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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、中国株安で上値重い

連載 2018-10-22


マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=160円台中盤まで軟化する展開になっている。TSRは150円の節目を割り込んでいる。

 世界的な株価急落に一定の歯止めが掛かる中、RSSは10月11日の167.00円をボトムに一時171.60円までの切り返しを見せていた。しかし、その後も中国株の下げ止まりを確認できない中、ゴム相場は改めて戻りを売られており、9月28日以来の安値を更新している。

 上海ゴム先物相場は、1トン=1万2,000元の節目を一時割り込んでいる。国慶節の連休明け後は急伸していたが、投機的な上昇圧力に過ぎなかったことが確認できる。中国の9月貿易収支では、輸出が力強い伸びを示したことが確認されている。ただ、米国の関税発動を控えて需要が前倒しされているだけとの懸念は根強く、中国株の軟調地合が引き続きゴム相場の上値を圧迫している。米財務省為替報告書における為替操作国認定は回避されたが、中国株の反発を促すことに失敗している。

 一方で、現物相場は安値ボックス傾向を強めている。タイ中央ゴム市場の現物相場は、10月18日時点でUSSが前週比0.6%安の1キロ=40.00バーツ、RSSが同0.1%高の42.77バーツとなっている。消費地相場は金融市場の動向を眺めながらの不安定な値動きになっているが、消費地相場は一貫して安値低迷状態になっている。大きく値崩れを起こすことも反発することもなく、膠着化が進んでいる。

 産地集荷量は総じて安定しており、生産国政府が政策的に需給引き締めを打診するような動きもみられない。このため短期需給緩和圧力が上値を圧迫し続けているが、増産期のピーク時期に到達しつつある中、値下り圧力もピークに到達しつつある。

 全般的に需給面の新規材料が乏しい時間帯であり、マーケットも明確な売買テーマを設定できていない。薄商いの中での保ち高調整が中心になっており、トレンド形成を打診しようとする動きは鈍い。ただ、いずれにしても産地相場が安値膠着傾向を強める中、ゴム相場の値動きは外部環境に強く依存することになる。

 10月は金融市場が極度の緊張状態を迫られているが、米国など先進国の株価が下げ止まっても中国の値下がり傾向が続く中、このまま月末にかけて中国株の値崩れが続くと、上海ゴム相場安が東京ゴム相場を下押しするリスクが高まる。

 特に東京ゴム相場は過去4カ月にわたって安値ボックス相場を繰り返しているだけに、仮に年初来安値164.10円を下抜くような動きがみられると、投げ売りが本格化する可能性を抱えている。

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