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連載「つたえること・つたわるもの」(45)

和製漢語・和製英語のフィーリング、現代中国の「簡体字」感覚。

連載 2018-07-24

 閑話休題。さて、和語(漢字伝来以前の話しことば)を文字化するのに、漢字の音韻や意味を借りて「万葉仮名」(のちに漢字の崩し字である変体仮名→江戸仮名→現在のひらがな、カタカナ)をつくり出した。松岡さんの言葉を借りれば、「和魂漢才」を発揮して、漢字という外来コードを、「漢文訓読」、「ひらがな、カタカナ」という内生モードに変換したのである。ちなみに、ひらがなの「あ」の字母(元漢字)は、「安」の草体(崩し字)だが、明治中期まで使われていた「あ」を表す江戸仮名には、安・阿・悪の草体が用いられていた。また、カタカナの「ア」の字母は、阿の旁である「阝」を取り出した。これを「一音一字」と定めたのは、いまから118年前、明治33(1900)年に出された「小学校令施行規則」以降である。

 西洋文化がいちどきに流入した、文明開化の明治時代には、欧米の英語やドイツ語などを「漢字の組み合わせ」で日本語化した「和製漢語」がたくさん作られ、のちに中国でも使われるようになった。たとえば、現在の中国(メインランド・チャイナ)の国名は「中華人民共和国」だが、もともとの中国製漢字は「中華」だけで、「人民」も「共和」もともに和製漢語である。明治に作られた和製漢語を眺めてみよう。
★西周の造語……哲学、真理、芸術、理性、科学、知識、定義、概念、命題、心理、物理、消費、取引、帰納法、演繹法、権利。★福沢諭吉の造語……社会、自由、経済、演説、討論、競争、共和、抑圧、健康、楽園、鉄道。★森有礼の造語……教育、開発、経営、人民、個人、商社、簿記(貸方・借方)。

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