連載「つたえること・つたわるもの」(41)
ホワイトボードの活用で、情報の見える化・共有化をはかる。
連載 2018-05-22
出版ジャーナリスト 原山建郎
これは就職活動を控えた大学3年生の「面接対策講座」で、学生たちに集団討論(グループディスカッション)を指導したときのものだが、一般企業でも新製品の企画会議や社内報の編集会議など、みんなで知恵を出し合い、新しいアイディアを産みだす、ブレインストーミングにも参考になるのではないだろうか。
グループディスカッションの演習では、自由に使ってよいと説明したうえで、A4(コピー)用紙を2枚ずつ配って、事前のレクチャーはなしで、ぶっつけ本番、初回のディスカッションを行うことにした。
学生たちが、全体の進行役である司会役、記録係の書記役、時間係のタイムキーパー役を、話し合いで互選したまではよかった(※ジャンケンやくじ引きで役割を決めるのはNG。勝ち負けの運ではなく、話し合いで納得する決め方が必要)のだが、いざディスカッションが始まると、ほとんどの学生が発言をうながす司会役の視線を避けるように、下を向いて手元のA4用紙にメモをとり始めた。書記役の学生もまたみんなの発言を書きとめるのに精いっぱいで、自分の意見を発表する余裕がない。みんながそれぞれ自分の世界に閉じこもり、お互いにアイコンタクトもしない。何人か意見を述べるが、そこから先に発展しない。これではまともな話し合いは期待できない。案の定、制限時間内にみんなの意見をまとめられなかった。
そこで、2回目の演習には、A4用紙の代わりにホワイトボードの使用を提案した。実は、ホワイトボードはこの部屋にもともとあったのだが、あらかじめA4用紙が配られたことで、この白紙はメモ用紙に使うものだと、全員が勝手に思い込んでいたのだ。ほとんどの新卒採用試験では、あらかじめ「ホワイトボードの使用禁止」という指示がなければ、学生たちのホワイトボード使用を黙認すると考えてよいだろう。
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