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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、下げ一服も膠着気味に

連載 2018-04-16


マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、1㎏=180円台前半まで小幅切り返す展開になった。

 米中貿易戦争に対する警戒感から4月5日には176.10円まで下落していた相場だが、その後は米中間の緊張緩和を受けて下げ一服となり、180円台を回復している。ただ、改めて本格的に上値を買い進むような動きまではみられず、方向性を欠いている。出来高も低迷しており、投資家の関心は値動きの激しい金や原油市場にシフトしている。

 上海ゴム相場も、1トン=1万1,000元台中盤で方向性を欠いている。米中貿易戦争のリスク織り込みは一服したものの、リバウンドは見送られる中途半端な地合になっている。

 中国の知的財産権侵害を巡って米政府は制裁関税を課す方針を発表し、そのリストには空気タイヤやベルトコンベヤなどのゴム製品も含まれていることが確認されている。このため、実際に課税が開始されると中国のゴム需要環境にも大きな影響が生じる可能性がある。

 一方、中国の習近平国家主席は10日の講演で市場開放方針を打ち出し、自動車の輸入関税引き下げ、金融分野などにおける外資保有制限緩和などを発表した。既に発表済みで実行されていない政策だけといった批判もあるが、トランプ大統領はこうした中国側の動きを歓迎する発言を行っており、米中対立がエスカレートする事態に歯止めが掛かっていることが、ゴム相場の下値不安を後退させている。

 まだこの問題には終止符が打たれていないが、このまま米中間の交渉が進めば、貿易戦争化の最悪のシナリオは回避されることになる。ゴム相場に対してはポジティブな動きになる。

 本来は、こうした貿易戦争のリスク軽減と連動して安値是正の流れが基本になるところだったが、ゴム相場の反発力は限定されている。高止まりが続く産地相場とのバランス修正が行われれば、190円台回復でも何ら違和感がない状況だが、自立反発的な動きが若干観測される程度の値動きに留まっている。

 産地の集荷量は抑制されているが、3月末でタイ、インドネシア、マレーシアの輸出制限策が期限切れを迎えたことで、在庫放出が行われている可能性が指摘されている。

 また、米中貿易戦争が発生しなくても、ゴム需給の緩和状態には変化がないといった冷静な評価もゴム相場の反発力を限定している模様だ。需要拡大を上回るペースの増産圧力という構造問題が解消されている訳ではなく、下げ止まりと反発との間には、依然として大きな距離感が残されている。

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