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海外事業の拡大を加速

タイヤ中心に海外企業の買収相次ぐ

その他 2016-06-06

 タイヤを中心としたゴム関連企業による海外企業の買収が、近年相次いでいる。国内市場での大きな需要拡大が見込めない中、企業買収により海外事業の拡大を加速させる動きが活発化している。

 海外企業の買収に最も積極的なのがブリヂストン。14年6月に米国のホース販売・サービス専門会社マストヘッドインダストリーズ社を、15年11月にはカナダのソフトウェア会社タイヤコネクト社を買収、また昨年末には米国の大手自動車用品小売チェーン、ペップ・ボーイズ社の株式公開買付けを発表したが、買収には至らなかった。直近では5月30日に仏大手自動車整備業チェーン、スピーディー・フランスを買収すると発表した。同社では北米や欧州で販売会社や小売チェーンを買収することで、現地での販売網拡大を着実に進めている。

 住友ゴム工業は、15年1月にスイスの医療用ゴム部品会社ロンストロフ社の親会社であるロンストロフ・ホールディング社を買収した。世界的に成長が見込まれる医療用ゴム部品の製造・販売拠点を欧州に確保することで、今後、欧州を中心にグローバル展開をさらに押し進めていく。

 横浜ゴムは14年9月に米国パーカー・ハネフィン社の子会社であるイタリアのマリンホース生産販売会社パーカーMHP社を買収。マリンホース事業のグローバル展開をさらに強化した。

 3月25日には、オランダのタイヤ会社「アライアンス・タイヤ・グループ(ATG)」を買収すると発表。買収金額は11億7900万ドル(約1356億円)で、同社として過去最大規模の投資となる。

 ATGは、農業機械用、産業機械用、建設機械用、林業機械用タイヤの製造・販売に特化した事業を展開しており、同社を買収することで、横浜ゴムの生産財タイヤ事業を強化していく。

 ニッタは3月1日にカナダのベルト加工・販売会社、コネクト・コンベヤ・ベルティング社を買収した。これにより北米市場でのベルトビジネスをさらに拡大していく。

 こうしたゴム企業による相次ぐ海外企業の買収は、海外事業の拡大を加速するのが目的だ。国内で思うように事業拡大が見込めない中、海外現地企業を買収することで、より早く、より確実に、海外事業の基盤強化をはかることを目指している。

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