【新年インタビュー】日本ゴム協会中瀬古広三郎会長
ゴム産業は“成熟成長産業” ビジネス見据えた活動目指す
その他 2017-01-24
日本ゴム協会の中瀬古広三郎会長は「ゴム産業はもはや成熟産業と思われがちだが、私は“成熟成長産業”だと考えてよいと思う」と語る。「既存の需要分野はもちろん、これから成長する産業分野においてもソフトマテリアルを代表する素材としてビジネスチャンスは多い」との理由だ。「アカデミアな個人会員と企業の賛助会員で組織化されている協会の特徴を活かし、将来の成長のもととなるネタが創出できるような活動が出来ること」を熱望する。
■2016年の協会活動を振り返って
本部の慣例的な行事としては年次大会、夏期講座、エラストマー討論会、各研究部会などを行っているわけですが、大きな行事としては日本では11年ぶりに開催のIRC(国際ゴム技術会議)2016北九州が開催されました。
IRC北九州には日本国内はもとより世界およそ30カ国からゴムに関する600人を超す技術者や研究者たちが参加し、これまでの絆やまた新たな交流が図られて素晴らしい催しになったと思います。
■2017年の活動に向けて
ゴム産業は比較的歴史のある産業で「成熟産業」と見られていますが、私は必ずしもそうではなく「成熟成長産業」だと考えています。
ゴムの持つ特有な性質が幅広い各産業のニーズに対応し、機能を幅広い分野で発揮して来ています。例えばタイヤから日用製品、メディカル、電子・IT分野まで、既存の需要分野はもちろんこれから成長する産業分野においてもソフトマテリアルを代表する素材としてビジネスチャンスは十分に多いとみて良いでしょう。
そこで、我々ゴム協会では純粋なアカデミックに沿った活動はあって当たり前ですが、それに加えてビジネスチャンスも意識した活動も必要な時代が来ていると感じています。
また、将来に繋がるトップレベルの研究だけでなく、一般ゴムの技術者の育成や情報の共有化については各支部の活動が非常に有効になっています。今後もその支部だからこそ出来る活動が重要になってくると思います。
当協会がさらに飛躍するためには、協会運営の根幹となる個人会員をはじめ、企業の賛助会員それぞれの要望を汲み取って、積極的に会の活動に参加していただくような組織にしていく必要があると考えています。
現在、幸いに原材料メーカーや商社、生産技術などに関わる賛助会員が増加傾向にあります。会員になるからにはモチベーションもあるわけで色々な情報を提供しあって、共有していくことが重要になってきます。
これらを背景に、純粋なアカデミア側の若手の研究者もゴム研究に広がりを持っていければ、将来の業界の産業貢献のネタを育成していくことになり、人材育成にもプラスにつながるはずです。
■ゴム協会の国際化について
ゴム産業はすでに積極的に海外進出しているような状況ですが、技術者や研究者もアジアを中心とした交流がもっとあっても良いと思います。
天然ゴムしかり、あらゆる原材料関係もすでにアジアに工場・プラントがあります。それらを考えるとゴム協会でも、若い技術者を中心に国際化交流を通して刺激を受けて欲しいと思っています。
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