30カ国から技術者550人が参加
IRC北九州、国際ゴム技術会議開く
その他 2016-10-31
ゴム・エラストマー技術展 出展者は語る
本紙はゴム・エラストマー技術展の会場で、出展者から今回の参加目的などを聞いた。主な声は次の通り。
■中島幹雄九州ゴム工業会会長(中島ゴム工業社長)「久留米リサーチ・パーク、福岡県工業技術センター化学繊維研究所、福岡県工業技術センタークラブナノ材料技術部会と合同で出展。中島ゴム工業としては、製品・技術をアピールする機会がなかったので、展示会で実用テストに入りつつある水素ステーション用の耐水素ゴム製品(シール材)を出展」
■小池千尋昭和ゴム取締役「昭和ゴムのブランドを紹介するため、初めて出展した。アジアに事務所を開設したので、IRCに参加するアジアからの来場者にゴムライニングなどを訴求したい」
■戸張傅二郎平泉洋行社長「バリ取り装置、ゴム押出機などの機械を出展。ゴム薬品だけの会社ではないことをアピールしたい。九州ゴム工業会の賛助会員でもあるので、工業会の会員に向けて各種機械類をPRする」
■三井福太郎三福工業社長「フッ素ゴム練りに特化している現状をアピールするため、初出展した。またインドに工場を持つものの、アジアの情報が入ってこないため、IRCの参加者、特に韓国、台湾、中国の人たちへのPRの場としてIRCを活用した」
■加藤進一加藤事務所社長「代理店になっている台湾の機械メーカーJING DAYと同じく台湾のニーダーマシナリーの2社、およびフランスのゴム薬品メーカーMLPCを通じて出展。今回の展示会では、生産機械を持ち込んで実演しているのはこの台湾2社だけなので、アピール効果は高いと思う。
MLPC社はゴム薬品の老舗で、ここでしかつくれないアクリル系樹脂を用いたゴム薬品マスターバッチをPRする」
■森芳裕モリテック常務取締役営業本部長「ゴム技術展もそうだが、九州で開かれる展示会に出展するのも初めて。今回はゴム・エラストマーに特化しているので、ゴムの加工技術を広く認知してもらうことに努めた」
印ボンベイ・ケミカル&ラバー・プロダクツ「インドの優れた原料を紹介したい」
ゴム・エラストマー技術展に日本のポリマーメーカーと長い付き合いがあるインドの資材商社、ボンベイ・ケミカル&ラバー・プロダクツが出展。同社のビシャール・ジュンジュンワラ社長は出展目的などを次のように話す。
「10年ほど前から日系ゴム企業によるインド進出が目立ち始めたが、大方は苦戦している模様だ。その理由の1つとして、日系企業は原材料の多くを輸入品に頼っているため、インドの部品メーカーと価格競争で負けている。
インドには可塑剤、カーボンブラック、シリカ、各種ゴム薬品、ワックス、硫黄などを製造しているメーカーがあり、その多くは世界クラスの企業だ。
北九州の展示会に出展したのは、インド進出を検討している日本企業に、高品質で価格競争力のあるインドの原材料を紹介するのが目的である。インドには優れた原料メーカーが多数あることを紹介したいと考えており、そのためには日本企業に現地に来て見てほしいと思っている。
2017年1月19―21日、インド・チェンナイで『インディアン・ラバー・エキスポ』が開催されるが、当社も出展する。この機会にぜひ現地を訪れ、インドの原料事情を確認してほしい」
IRC組織委員会五十野委員長に聞く
本紙は10月25日、技術展会場で五十野善信組織委員長(前日本ゴム協会会長)にインタビューした。五十野氏は「会議・展示会を通じて日本のゴム科学・技術のイノベーションを発信していく」と、概略次のように話した。
今回の国際ゴム技術会議の参加者も論文発表件数も、45%が海外からであり、主催するゴム協会にとっては画期的な数字だ。参加者数は550人を超え、論文発表件数は307件と、300を超えた。
前回2005年開催の横浜会議と比べると、参加者数も発表件数も1.5-1.6倍にスケールアップした。特に海外からの関心の高さは、日本のゴム科学・技術に注目が集まっているからだとみている。
会議のテーマは、基礎科学に基づいたイノベーションで、特に基礎科学が重要であることを強調したい。ゴム工業がさらに発展するためには、もう一段上のイノベーションが必要である。基礎科学、基礎技術の上に花開くのがイノベーションであるからだ。
今回の会議では、初の試みとして学生を対象とした論文発表の表彰を行う。日本を含む海外14カ国から計96件の学生論文が寄せられている。ねらいは若手のゴム技術者・研究者を育成することにあり、今後IRC活動の柱にしていきたいと考えている。
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