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ISO/TC45国内審議委員会荒木俊二委員長が語る今後の活動

日本の競争力につなげる

工業用品 2016-07-25


 今年5月で創立20周年を迎えた一般社団法人日本ゴム工業会ISO/TC45国内審議委員会。同委員会の荒木俊二委員長は「JISをISOに反映させる作業も一段落し、次は日本の競争力につながる規格をつくることがテーマ」と概略、次のように話した。

 ■創立のきっかけ
 1995年に多角的貿易体制がガットからWTOへ移った。国と国の間に貿易障壁をつくらないのがWTOのルールで、標準化についても各国の規格が違うと輸入の妨げになることから、日本も早急に品質保証の規格であるJISと国際規格であるISOとの整合性を持たせる必要が出てきた。

 そこで日本ゴム協会の中に96年5月創立され、翌97年に日本ゴム工業会へ運営主体が移った。

 ■これまでの活動
 創立以来、10年間はISOの中身とJISの中身を整合させることに注力した。これがフェーズ1とすると、2006年以降のフェーズ2は、JISの内容をISOにも反映することに注力し、この作業は一段落した。

 次は日本として何を提案していくか、を数年前から考えているのがフェーズ3といえる。

 ■委員会活動
 国内審議委員会は4つのSC(分科会)、20弱のWG(作業グループ)から成り、総勢212人の委員がいて、年間トータル150回以上の会議を開いている。委員の皆さんは自分の会社の仕事をやりながらの参加で大変であるが、ほぼ100%の出席率だ。

 各委員は主体性を持って積極的に会議に出席しており、その団結力に感謝申し上げる。

 ■今後の課題
 日本のゴム工業にとって真に役立つものは何か。それを規格しようと、数年前から研究している。それも従来のテーマではなく、世界のユーザー、製造業に役立つ新しいテーマを探索中だ。

 一方、我々は運営資金の8割を国から支援を受けているので、国から価値を認めてもらう必要があり、日本の競争力を上げることにつながるテーマを意識してつくらないといけない。

 業界にとって役に立つ、あるいは企業の利益につながる新しい規格を提案、実行するサイクルを根付かせる、継続させる仕組みをつくることも重要だ。

 さらに規格の仕事は、一生取りかかれる仕事なので、委員や会社を辞めてもOBが頑張って若手を引っ張ってくれることが多い。ただ、若い人は2年に1回交代することを前提に参加しているため、中堅層が育たないという課題がある。

 ■ISO/TC45での日本の役割
 従来は年1回開かれる国際会議の中で、PL(プロジェクトリーダー)としてテーマを立ち上げ、その件数がいくつになったかなどをベンチマークとしてきた。しかし、PLをいくつ取ったのではなく、テーマに沿って地道に実験や研究を重ねるという労力を大切にして活動していきたいと考えている。

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