住友ゴム工業(DUNLOP)は10月22日、同社本社(兵庫県神戸市)で川崎重工業、神戸製鋼所と合同で、「第8回神戸モノづくり企業 技術系女性交流会」を開催した。当日は共催企業3社のほか、ゲスト企業としてバンドー化学と住友ベークライト、来賓として神戸市を迎え、合計87人が参加した。

コミュニケーションデザインでDE&Iを実践へ

 同交流会は技術系女性が、仕事と生活を充実させるための情報共有とネットワークづくりの場として2023年9月に、神戸に本社に置く共催企業3社により発足。「技術系の職場では身近に同じような立場の女性が少なく、キャリアや働き方について相談できず迷うことがある。そうしたときに、会社の外にいる人達と意見交換や情報共有することで、自身の可能性を考えるきっかけになることを期待し、開催を進めてきた」(住友ゴム工業)。

 第8回目のテーマは「DE&Iを、『理解している』から『職場でやってみる』に変える」。これまでの研修で、DE&Iへの理解は進んだが、職場で実践できているという実感を持つ人は少ない。そこで今回は、京都大学経営管理大学院の蓮行特定准教授を講師に迎え、「コミュニケーションデザイン」という異なる角度から、DE&Iにアプローチする場とした。

解説する蓮行氏

 蓮行氏は演劇教育やコミュニケーションデザインが専門。1995年に劇団衛星を立ち上げ、劇作家、演出家、俳優としても活動しながら、演劇の持つ社会教育力に着目し、そのポテンシャルを利用したワークショップ事業を多数手がけている。

 コミュニケーションデザインとは、コミュニケーションを個人の能力だけでなく、関係性やルール、空間などの「環境」から捉える考え方。広い視野で職場の対話の環境を捉え直し、仕組みとしてデザインする。演劇的手法を用い、他者の立場を演じることで多様な視点を体験的に理解することで、個人の経験・知識・価値観である“分散知”から、新たな価値創造・イノベーションにつながる“集合知”を生み出していく。

 講義は、皆で話し合うワークショップを織り交ぜて行われた。蓮行氏は最初に参加者をランダムにグループ分けし、最初の一人が今日の昼食を報告、その他の人は順番にそれに関する話題を膨らませ、それがどの様な内容でもまわりは肯定するゲームを実施。これを3分続けることで、最終的に多くのグループが想定外の回答に到達し、結果発表の場は大いに盛り上がった。蓮行氏は、「多様な能力が集まり、否定されない心理的安全な場をつくることで新たな発想が生まれる」とし、イノベーションを生む土壌としてダイバーシティの重要性を体感で示した。その後は、「架空の役割を演じることで、個人の認知限界を突破する」(蓮行氏)ことを体験するワークショップなども行った。

 蓮行氏は「コミュニケーション力は属人的な能力ではあるが、環境にも左右され、環境はデザインすることができる」とした上で、その環境への働きかけとして「明日から、これをする」を考えるワークショップを実施。参加者は他社、自社とメンバーを変えたグループコミュニケーションを通じ、最終的に個人の目標へと落とし込む作業を行った。

 蓮行氏は最後に、「分散知は皆が持っている素晴らしいものだが、そのままでは見えない。場をつくり可視化することで集合知となり、それがまた皆さんの分散知となっていく。皆さんは今日、対話により多くの集合知を得た。それを個人目標としての分散知として持ち帰って頂きたい」と結び、実践への期待を示した。