【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、上海相場安も膠着続く
連載 2023-10-02
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=230円台前半から中盤で揉み合う展開が続いた。週を通じて積極的な売買は見送られ、薄商いの持高調整に終始した。米長期金利の急伸を受けての株安と円安、原油相場の急伸など、他マーケットの値動きは激しさを増したが、ゴム相場は膠着状態を維持した。
上海ゴム先物相場は1トン=1万4,000元の節目を割り込んだ。1万4,000元台前半で膠着状態が続いていたが、9月1日以来の安値を更新する展開になった。
なにか上海ゴム相場の特有のネガティブ材料が浮上したというよりも、9月29日~10月6日までが中秋節と国慶節の連休を迎えることもあり、8月下旬~9月上旬にかけての急伸地合の反動安になった模様だ。ただし、JPXゴム相場は上海ゴム相場につれ安することはなく、膠着状態が維持されている。
中国の8月工業部門企業利益(年初来)は11.7%減となり、前月の15.5%減からマイナス幅を縮小した。中国経済の減速圧力がピークを脱したとの見方を支持するデータになっているが、ゴム相場に対する影響は限定された。
米長期金利の急伸を受けて、世界的に株安傾向が強くなっている。米連邦準備制度理事会(FRB)が従来考えられていたよりも高い金利水準を長期にわたって志向しているとの見方が強くなっている。ただし、こうしたリスクオフ環境を手掛かりにゴム相場を大きく売り込むような動きは見送られた。
逆に米長期金利上昇でドル高・円安が進行したことは円建てゴム相場に対してポジティブだが、為替要因で買い進むような動きも鈍かった。
一方、原油相場が改めて高騰している。NY原油先物相場は1バレル=90ドル水準での保ち合いを経て、一時95ドルの節目も突破した。2022年8月以来の原油高環境になっており、合成ゴム価格に対しては押し上げ要因になる。ただし、原油高を手掛かりにゴム相場を買い進むような動きもみられなかった。
強弱材料交錯の中で身動きが取れない状態というよりも、8月16日の安値194.00円から大きく切り返した後の持高調整が中心の展開との評価になろう。中国市場が連休入りしたことで、さらに膠着感が強まるのか、薄商いの中で仕掛け的な売買で大きな値動きがみられるのかが焦点になる。
タイ中央ゴム市場(ソンクラ)の現物相場は、9月28日時点でUSSが前週比1.1%高の49.40バーツ、RSSが同0.6%高の51.90バーツ。産地相場はやや底固く推移しているが、産地主導の積極的な売買は見送られている。JPXゴム相場のサヤ環境の動きも鈍い。
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