【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、中国経済減速で年初来安値
連載 2022-08-22
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は、1キロ=220円台中盤から後半で上値の重い展開になった。8月16日安値は222.40円に達し、年初来安値を更新している。中国経済環境に対して根強い不信感があり、戻り売り優勢の展開が維持されている。

上海ゴム先物相場は、1トン=1万3,000元の節目を割り込み、1万2,000元台後半まで値下がりしている。8月15日に中国の7月経済指標が発表されたが、小売売上高は前年同月比2.7%増(前月は3.1%増)、鉱工業生産は同3.8%増(同3.9%増)、固定資産投資は同5.7%増(同6.1%増)といずれも下振れしたことが、中国経済の減速懸念を一段と強めている。
中国では新型コロナウイルスの感染被害が続いているものの、大規模なロックダウン(都市封鎖)は行われておらず、マーケットでは6月に続いて7月も経済活動の拡大を見込む向きが多かった。しかし、実際には7月に経済活動が鈍化した兆候が目立ち、改めてゴム需要不安を織り込む必要性に迫られている。
新型コロナが依然として経済活動を抑制していることに加えて、不動産バブル崩壊による混乱も報告されている。中国市場では鉄鉱石や石炭相場なども上値を圧迫されており、中国経済の下振れリスク織り込みが優勢になっている。目先は中国経済に対する不信感をさらに強めていくのか、それとも中国政府の大型財政出動などによる地合の急変がみられるのかが焦点になる。
産地相場も急落している。タイ中央ゴム市場の現物相場は、8月18日時点でUSSが前週比4.6%安の1キロ=49.13バーツ、RSSが同1.2%安の50.82バーツとなっている。価格低下でも集荷量は安定しており、完全な値崩れを起こしている。
タイではミャンマー国境付近などで洪水被害も報告されているが、大規模な集荷障害は確認できていない。ただ、50バーツの節目割れは生産コストとの絡みで農家の売り渋り、政府の介入といった動きも想定されるレベルの安値圏である。このまま産地相場も値下がり傾向が続くのか、天候障害や農家の売り渋りなどで下値を固めるような動きがみられるのかが注目される。
一方、JPXゴム市場では当限と6番限(中心限月)のサヤが逆サヤ(期近高・期先安)から順サヤに転換している。国内では在庫減少圧力が強く、これまでは需要不安による期先安と、低在庫による当限高が交錯し、逆サヤ環境が定着していた。しかし、需要不安が一段と強くなっていることで、当限も値崩れを起こしており、順サヤへの転換が実現している。ゴム相場の実勢が悪化していることを象徴する動きといえる。
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