【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、当限は4カ月ぶり高値更新
連載 2020-07-27
(マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努)
JPX天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=150円台中盤から後半での小動きに終始した。7月23~26日までが4連休となることに加えて、27日に東京商品取引所(TOCOM)から大阪取引所(OSE)への市場移管を控える中、積極的な売買は見送られた。
上海ゴム先物相場も1トン=1万元台中盤での小動きに終始し、明確な方向性を打ち出せなかった。
JPXゴム期先限月は膠着状態が続いているが、その一方で当限は上昇地合を維持している。7月17日に150円の節目を突破したが、21日時点では155円水準までさらに値上りし、3月18日以来となる約4カ月ぶりの高値を更新している。産地相場が改めて上昇傾向を強める中、当限は明確な上昇トレンドを形成し始めている。
東南アジアでは干ばつ傾向が警戒されていたが、ここにきてインドネシアやマレーシア、中国南部などで豪雨が報告されている。このため、農作業全体が停滞しており、パーム油相場が約5カ月ぶりの高値を更新するなど、供給不安が高まっている。
もともと、経済活動の正常化と連動して需要が回復し始める段階にあるが、天候不順でタッピング(樹液の採取)に障害が発生していることに加えて、入国規制による外国人労働力不足の問題なども蒸し返されている。これまでは低集荷環境がほとんど問題視されることはなかったが、供給サイドのリスクプレミアム加算が迫られ始めている。
タイ中央ゴム市場の集荷量に大きな変化はないが、現物相場は7月21日時点でUSSが前週末から1.0%高の1キロ=40.68バーツ、RSSが同0.0%高の43.79バーツと、特にUSSの上昇傾向が強くなっている。連日のように今季最高値を更新しており、こうした展開が続くと、消費地相場に対しても値上がり圧力が強まりやすくなる。
現時点では期近限月に限定された上昇圧力に留まっているが、当先の順サヤ(期近安・期先高)が急速に縮小する中、当限に続いて期先限月に対しても買いが膨らむかが焦点になる。このまま当限だけが上昇して逆サヤに転換するのか、出遅れ感の出てきた期先限月に対しても買いが膨らむのかが注目される。
一方、需要サイドでは新型コロナウイルスの感染拡大の影響が警戒されている。6月のタイヤ市場は、中国に遅れて欧米市場でも販売の回復傾向が確認されているが、改めて先行き不透明感が強くなっている。株式市場は冷静な対応を続けているが、さらに感染被害が広がると、自動車販売や生産に対しても影響が生じる可能性を抱えた不安定な需要環境にある。
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