DUNLOP(住友ゴム工業)は8月1日、スタッドレスタイヤ「WINTER MAXX」シリーズの新商品「WINTER MAXX ICE Pro(ウィンターマックス アイスプロ)」を発売した。同商品では、従来品で追求しきれなかった氷上性能を極めている。2025年に発売したオールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER(シンクロウェザー)」の登場で、雪道までを1本のタイヤでカバーできるようになったからだ。発売に先んじて、2月には報道関係者を対象とした試乗会を開催。記者は同社の旭川タイヤテストコース(北海道旭川市)で氷雪上のコースを試乗した。

WINTER MAXX ICE Pro

氷上性能に振り切った商品、氷上ブレーキ性能は25%、氷上コーナリング性能は9%向上


 8月1日にスタッドレスタイヤの新商品として発売した「WINTER MAXX ICE Pro(以下ICE Pro)」。同商品と従来の「WINTER MAXX」シリーズとの決定的な違いは、その開発方針にある。軽度の氷上路面までをカバーできる「SYNCHRO WEATHER」の誕生により、スタッドレスタイヤでは氷上性能に特化した開発が可能になった。その分、極限まで氷上性能を追求した新商品が「ICE Pro」だ。従来品(WINTER MAXX03)と比較すると、氷上ブレーキ(制動)性能は25%、氷上コーナリング性能は9%向上している。

 性能の向上に寄与したのは、新搭載の「ふんばり吸水ゴム」だ。氷上性能を発揮するためには、タイヤが路面を捉え、しっかり地面と「密着」することが重要となる。ふんばり吸水ゴムでは、滑りやすさの原因となる“氷上の水分”を吸水し、路面の形状に合わせてゴムを柔らかく変化させ、路面に密着する。そして、ふんばり吸水ゴム最大の特徴とも言えるのが、この密着状態を“維持”できることだ。本来、ゴムは低温環境下では硬くなる性質を持つが、ふんばり吸水ゴムに搭載された「低温ふんばり剤」がゴム内部のポリマーとカーボンシリカの結合を強めることで、低温環境下でもゴムの柔軟性を維持させることを可能にした

 これまでの知見と新技術で氷上性能を極限まで追い求めたICE Proは、“性能の持続”にもこだわっている。通常、タイヤは経年でタイヤ内部のオイルが抜けてゴムが硬くなることで、氷上性能も徐々に低下する。こうした課題に対し、ICE Proでは「うるおいポリマー」を配合することでオイルの抜けを防止。4年使用しても氷上性能の効きが持続するタイヤとなっている。

 ■旭川タイヤテストコースで試乗会を開催
 「ICE Pro」発売に先んじて開催された試乗会では、同社の旭川タイヤテストコース(北海道旭川市)で氷雪上性能を試した。

WINTER MXX INR PRoを装着したフォルクスワーゲン「Golf8」

 テスト車輌はフォルクスワーゲンの「Golf8」。従来品「WINTER MAXX03」とICE Proでそれぞれ試乗し、性能の向上を体感した。タイヤサイズは205/55R16。

 テストコースは前半が氷上路面、後半が雪上路面のコースで、各タイヤ2周、計4周した。当日は気温が上がった分、氷上の水分も多く厳しい路面状況だった。

 まずは氷上路面でゼロ発進し、時速30キロメートル到達後にブレーキをかけ、制動を確認した。従来品では、タイヤが路面を捉えて推進力に変えるまでに10秒ほど立ち上がりに時間を要した。対してICE Proは発進から立ち上がりまでが明らかにスムーズで、わずか数秒で立ち上がった。従来品で感じた後輪のガタつきも軽減されていた。ブレーキをかけてから車体が停止するまでの距離についても、従来品が29メートルだったのに対し、ICE Proでは26メートルほど。気温の上昇と前半の試乗(従来品での試乗2回分)で路面環境が悪化する中でも、その性能向上が証明された。 

 次に雪上路面の周回路を走行。雪上での発進、制動性能を確認した。氷上から雪上路面へ右カーブして侵入する必要があったが、従来品ではこのカーブで後輪が滑る感覚を覚えた。後部座席にいた記者も、遠心力で身体が車輌左側に抑えられ、支えが必要だった。対してICE Proでは、後部座席にかかる遠心力も軽減されているのを体感した。天候の都合上、氷上路面の水分が多い状況だったが、「ふんばり吸水ゴム」がしっかり路面を捉えることで、後部座席でも安定感ある乗車ができた。

 その後は時速40キロほどで直進し、時速45キロに到達した時点で一時停止、制動を確認した。従来品も雪上ではブレーキがすぐに効いたが、ICE Proではさらに応答がスムーズに。停止時の後部座席の揺れも少なく快適に走行できた。次に雪上でスラローム走行を実施した。従来品では、時速40キロまでは安定走行ができた。対してICE Proでは、さらに応答がスムーズで、左右の切り替えに対しても戻りが良く、スピードを時速45キロ以上出しても安定感があった。

 2周目では、氷上でのスラローム走行を実施した。時速10キロメートルでの走行だったが、従来品では後輪が氷上の水分でやや足を取られ、これ以上のスピードでは制御が効かなかった。一方ICE Proでは、時速15キロでも制御が効き、左右のハンドル操作への応答もすばやかった。記者は後部座席での試乗だったが、ICE Proの快適性を十分に実感することができた。運転する本人はもちろん、同乗者にとっても快適な冬道の走行を可能にするタイヤと言えるだろう。