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【マーケットアナリティクス】

天然ゴム相場、地政学的リスクで下押し

連載 2017-04-21



 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、4月13日の取引で1kg=215.50円を付けるなど、改めて年初来安値を更新する展開になった。3月下旬以降は230円水準で下げ止まりの兆候も見られたが、①上海ゴム相場が急落したこと、②急激な円高、③地政学的リスクの高まりなどを背景に、改めて下値模索の展開になっている。

 上海ゴム相場は、1トン=1万5,000元の節目も割り込む急落地合になった。2月15日の2万2,310元をピークとしたダウントレンドが維持されており、昨年11月8日以来の安値が更新されている。

 産地では集荷量が一段と落ち込んでおり、3月の中国新車販売台数が前年同月比4.0%増の254万2,900台に達するなど、需給面ではポジティブ材料も目立った。タイではソンクラン(水掛け祭り)を迎えているが、減産シーズンは寧ろこれからが本番であり、短期需給に対して引き締め圧力が強まりやすい状況は維持されている。

 しかし、鉄鉱石や銅など中国コモディティ市況全体が急落傾向を見せる中、ゴム相場も急落傾向に歯止めを掛けることに失敗している。直接的には、米軍のシリア攻撃、北朝鮮情勢の緊迫化といった地政学的リスクの高まりが、景気連動性の高いコモディティ市況にネガティブな影響を与えた可能性が指摘されている。ただ、天然ゴム相場の急落はそれ以前から始まっており、中国金融引き締めによるコモディティ市場からの投機資金引き揚げといった金融要因の影響を指摘する声も強くなっている。

 前週は、東京ゴム市場で当限が独歩高の展開になり、当先の逆サヤ(期近高・期先安)が急激に拡大していた。当限は一時310.00円を付けていたが、その後は260円台まで50円幅の急落となっており、当限主導で急伸した昨年の上昇地合を再現することに失敗している。当先では依然として50円程度の逆サヤが残されているが、期先の割安感を是正するような値動きは確認できていない。

 今後も上海ゴム相場の急落に歯止めを掛けることができるか否かだけが問われるマーケットになるが、1万5,000元の節目割れでチャート環境からは値下がりリスクが一段と高まっている。

 4月17日には中国で1―3月期国内総生産(GDP)などの重要統計発表を控えており、そこで中国のゴム需要に対する信認回復が実現するかが焦点になる。ただ、地政学的リスクの早期解消は難しく、北朝鮮のミサイル実験などの暴走がみられると、リスク回避の動きと円高から、更に急落するリスクも残されている。

 (マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅努)

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