コラム「Front Line」
働き方の変化によるオフィスの統合、再編
連載 2021-06-07
テレワークの進展、定着によって、タイヤメーカーが首都圏のオフィス拠点を中心に、統合や再編を進めている。
東京都にあるタイヤメーカーのオフィス拠点は、テレワークが定着してきている。足元の出社率は、10~30%ほどで推移。「仮にワクチン接種が進み、新型コロナウイルスの影響が軽微になったとしても、以前のように全員が出社するという状況に戻ることはないだろう」と、あるタイヤメーカー関係者は話す。テレワークに加え、オフィス内で進むフリーアドレス化もオフィス拠点の統合、再編を後押ししている。
ブリヂストンは、首都圏等にある47の主要なオフィス拠点を34拠点に集約。オフィススペースの最適化を進め、オフィス拠点における自社物件比率を55%から68%に高めた。集約により、2021年で約8億円の経費が削減できると見込む。またオフィス内のフリーアドレス化を拡大するとともに、通勤利便性向上の観点から首都圏の自社保有施設を活用するサテライトオフィスを従来の3カ所から7カ所に拡充した。
住友ゴム工業はテレワークが浸透していることを受け、東京本社でフリーアドレス制を導入するとともに、オフィス面積を25%削減した。
横浜ゴムは、東京都港区にある本社ビルの売却を2月に発表。本社機能と平塚製造所(神奈川県平塚市)との拠点統合を計画している。大きな目的は、拠点統合による生・販・技のさらなる融合や経営資源の有効活用にあるが、オフィスでの勤務を前提とした従来の働き方の見直しも勘案した。
TOYO TIREは4月に、東京都に所在する支店機能2拠点と兵庫県伊丹市への移転対象外となるトーヨータイヤジャパンの一部機能を品川の新オフィスビルに移転、集約。それらのオフィス面積を従来比で45%削減した。2月に開催したオンライン決算説明会の席上、TOYO TIREの清水隆史社長は、「コロナ禍で働き方が多様化している。利便性の高い品川に移転・集約することは理にかなっている。コロナ禍で賃貸料が下がっており、事務効率の向上も図ることができる」と意義を語った。
ゴム関連企業の中には、自社ビルが本社という企業が決して少なくない。そのため、オフィスの統合、集約が今後一気に進むことはなさそうだが、テレワークの定着等による一つの動きとして、検討は各社で進んでいきそうだ。
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