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連載「つたえること・つたわるもの」(89)

ウィズ・コロナで生きる、腸内細菌・ミトコンドリアとの共生。

連載 2020-05-12

 いったい、どうしてウイルスはこんなふうに「他人まかせ」なのか。なぜ自分では生きていけないのに、宿主がいると生きていけるのか。そういうウイルスはいったい何者なのか。この問いに答えるのは容易ではない。自力では自己複製できず、宿主細胞に寄生すると自己複製するのだから、ウイルスが生物であるのか、それとも生物ではないのかはいちがいには決めがたい。(中略)そこであらためて考えるべきは、われわれはウイルスを起源とした共生編集的な生命系をつくってきたのであろうと思うことである。あとからウイルスが厄介なことをしはじめたのではなくて、厄介なウイルスによって生命系が複合的に始動してきたと考えてみることだ。借家住まいのウイルスの活動を活用して、本体の生命系が細胞や細胞膜をつくったのではないかと思うことだ。細胞は外からやってきたミトコンドリアだって取り込んだのである。さまざまな初期ウイルスの出入りをなんだかんだ活用しなかったはずがない。
(『松岡正剛の千夜千冊』1737夜)

 ところで、〈からだ〉の免疫系は、明るい〈こころ〉のトレーニングによって支えられている。先月、甲府市の在宅ホスピス医、内藤いづみさんが、「ウィズ・コロナ(コロナと共に)という考え方」について語ったラジオ番組「気になる人にキックス」の一部を抜粋して紹介する。内藤医師のホームページに音源のリンク(https://www.naito-izumi.net/archives/6972.html)があるので、実際の音声はこちらで聴くことができる。

☆ ひょっとしてコロナの終息はちょっとずつ長引くかもしれない。第2の波、第3の波もあるかもしれない。だからこそ、今を生きる私たちが「ウィズ・コロナ」という気持ちを持って、コロナと共に生きる中で、自分が今やらなければならないことをやるという考え方も持たないといけない。(中略)歴史は変わっています。その中で私たちは生きているので、それを希望につなげることこそが、大人の責任だと思っています。これまでの物差しではなく、新しい物差しが必要です。

☆ 先日は、1日1回は「ありがとう」を言いましょうと伝えましたが、今日は寝る前に「5つ、これが嬉しかった」と言葉にすること、あるいは日記につけることを習慣づけてもらいたいと思います。(中略)例えば「マスク越しだけど、誰々とおしゃべりした」、「庭の花がきれいだった」など、なんでもいいんです。ポジティブな自分になるためのトレーニングだと思ってやってみてください。前に進むということが希望なので、「ウィズ・コロナ」であっても一歩前に進み、1日の終わりにはたった5つの楽しいことを思い出してください。免疫が上がるはずです。

(「気になる人にキックス」 YBS山梨放送4月27日放送)

 「コロナ疲れ・コロナうつ」に、「ウィズ・コロナ(コロナと共に)」のポジティブトレーニングが効く。

【プロフィール】
 原山 建郎(はらやま たつろう)
 出版ジャーナリスト・武蔵野大学仏教文化研究所研究員・日本東方医学会学術委員

 1946年長野県生まれ。1968年早稲田大学第一商学部卒業後、㈱主婦の友社入社。『主婦の友』、『アイ』、『わたしの健康』等の雑誌記者としてキャリアを積み、1984~1990年まで『わたしの健康』(現在は『健康』)編集長。1996~1999年まで取締役(編集・制作担当)。2003年よりフリー・ジャーナリストとして、本格的な執筆・講演および出版プロデュース活動に入る。

 2016年3月まで、武蔵野大学文学部非常勤講師、文教大学情報学部非常勤講師。専門分野はコミュニケーション論、和語でとらえる仏教的身体論など。

 おもな著書に『からだのメッセージを聴く』(集英社文庫・2001年)、『「米百俵」の精神(こころ)』(主婦の友社・2001年)、『身心やわらか健康法』(光文社カッパブックス・2002年)、『最新・最強のサプリメント大事典』(昭文社・2004年)などがある。

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