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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、大型連休前の持ち高調整

連載 2019-05-06


マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=190円水準、TSRが160円台後半でほぼ横ばいの展開になった。大型連休を控える中、敢えて積極的に売買を仕掛けるような動きはみられず、薄商いの持ち高調整に終始した。今年は4月27日から5月6日まで10営業日にわたって取引が行われないため、連休中に上海ゴム相場環境が急変するリスクを警戒して、売買が見送られている。

 上海ゴム先物相場も、1トン=1万1,000元台中盤で方向性を欠いた。上海株式相場は、中国経済の底入れ感から政策支援が予想されていたよりも弱まるリスクが警戒され、調整売り優勢の展開になった。しかし、上海ゴム相場に関しては前週の急落地合を引き継いで一段安を打診することも、逆に押し目買いで大きく切り返すこともなく、決定打を欠いている。

 ドル/円相場が歴史的な低ボラティリティ環境に陥る中、東京ゴム市場では上海ゴム相場の動向に対する関心が高かった。しかし、その上海ゴム相場が動意を欠く中、敢えて大型連休前に積極的に売買を仕掛ける必要性は見当たらなかった。

 4月22日にRSS4月限が納会を迎えたが、納会値は186.00円となった。3月限の180.30円から小幅上昇しているが、1か月前と比較してゴム相場に大きな変化は生じていないことが確認できる。当先のサヤは順サヤ(期近安・期先高)からフラット化しつつあり、気迷いムードの強さが窺える。

 産地では全般的に乾燥傾向が目立つが、散発的な降雨は観測されている。エルニーニョ現象による高温・乾燥を警戒する声もあるが、例年と比較して特別に乾燥傾向が強くなっている訳ではなく、天候プレミアムの加算は見送られている。

 タイ中央ゴム市場の現物相場は、4月25日時点でUSSが前週比0.7%安の50.67バーツ、RSSが同0.3%高の53.65バーツ。産地相場も概ね横這い状態であり、産地主導で消費地相場が大きく動くようなことはなかった。

 ドル高の影響で新興国通貨の値下がり傾向が強く、特にタイバーツとマレーシアリンギットの下げ幅が大きくなっていることは、円建てゴム相場に対してポジティブ。自国通貨安は輸出拡大要因にもなるため、為替相場の値動きが大きくなっていることには注意が必要。

 日本が大型連休入りすることで、上海ゴム相場の急伸・急落には注意が求められる。中国の4月製造業PMIの数値によっては、連休明け後の上海ゴム相場の値位置が大きく変わっている可能性がある。

 ただ、昨年の場合だと日本の大型連休中の上海ゴム相場の値動きは鈍く、東京ゴム相場も連休前後で目立った動きは見られなかった。

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