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連載「つたえること・つたわるもの」(51)

新卒一括採用見直し、就活ルール廃止、即戦力重視の落とし穴。

連載 2018-10-23

 近年、実質的な前倒し採用活動ともいえるインターンシップ(就業体験)を、1・2年生時の学生から始める企業が増えている。これは、1960年代の高度経済成長時代に横行した「青田買い」の変形である。また、もともと経団連に加盟しない中堅企業や外資系企業の場合は、就活ルールに縛られないことから、早期の採用活動、内定出しが行われていた。つまり、就活ルールはすでに空文化していたわけであり、経団連が自主規制してきた就活ルールの廃止決定そのものは、さほど驚くにはあたらないニュースなのだ。

 それよりも、これから就職活動を始める大学生にとって、もっと恐ろしいことが起こりつつある。

 昨年6月、経済同友会が発表した提言書「生産性革新に向けた日本型雇用の改革へのチャレンジ」の中で、これまでの新卒一括採用(入社後の伸び代に期待する「ポテンシャル採用」)への問題点を挙げている。

☆社会人経験のない学生を大量採用し、均質なマインドセットを行うことが、画一的な人材を生み出し、イノベーション創出を阻害している可能性がある。

☆外国人材、海外大学卒業生、留学生の採用が困難である。

☆育成に時間を要する。若い才能が力を発揮できなかったり、変化への対応が遅れる。

さらに、従来の「中途採用」を、新たに「キャリア採用」という呼称にするという提言もなされている。

★キャリア採用(中途など経験者採用)を3分の1以上にするなど(新卒と中途の)比率を見直すべき。

 ここまでくると、面接対策合宿での自己アピール、業界・企業研究、志望動機の指導だけでは、大企業への就活対策は十分とはいえないだろう。かといって、TOEICや英検のレベル認定、秘書技能検定だけでは、近い将来に想定される「通年採用(新卒・既卒大学生採用+キャリア採用)」を突破できそうにない。

 いま、大企業が大学生に求める「即戦力」の中身は、7年前、ユニクロの柳井正会長兼社長が掲げた「グローバル人材論」によって、その一端が明らかになった。神戸女学院大学名誉教授・内田樹さんのブログ(「内田樹の研究室」2011.11.25)から、その発言の一部と内田さんの見解を、ざっと要約してみよう。

●私の定義は簡単です。日本でやっている仕事が、世界中どこでもできる人。少子化で日本は市場としての魅力が薄れ、企業は世界で競争しないと成長できなくなった。必要なのは、その国の文化や思考を理解して、相手と本音で話せる力です。

●ビジネス言語は世界中どこでも英語である。「これからのビジネスで英語が話せないのは、車を運転するのに免許がないのと一緒。

●そんなに甘くないよ。10年後の日本の立場を考えると国内でしか通用しない人材は生き残れない。日本の学生もアジアの学生と競争しているのだと思わないと。

●3~5年で本部社員の半分は外国人にする。英語なしでは会議もできなくなる。

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