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【特集】合成ゴム

住友化学、バナジウムならではのグレード伸びる

原材料 2017-07-12

 住友化学の16年度エチレンプロピレンゴム(EPDM)事業は、フル販売で推移した。上期は市況の悪化により苦戦したものの、下期にかけ市況が回復したことで挽回した。中国に展開する日系自動車部品メーカー向けなどの販売が伸びた。

 今期は、サウジアラビアでサウジアラムコ社と進めている「ラービグ計画」の中で、EPDMの新プラント(年産7万5,000トン)が稼働を開始する。年末にはサンプルを出荷する予定。安価な原料を活かした、コスト競争力を武器にアジアや欧州を中心に拡販していく考えだ。

 ラービグの新プラント稼働により、千葉工場はより特殊品に徐々に特化していく。「足元、千葉で生産するEPDMへの引き合いが強く、需給はタイトな状況だ。当社の千葉工場はバナジウム触媒で生産しているが、メタロセン触媒では難しい、バナジウム触媒ならではのグレード、高付加価値品が伸びている。ラービグが稼働を開始すると、輸出している汎用グレードを中心に生産拠点の最適化をするものも出てくるので、それに伴い千葉工場はより高付加価値化していく」(住友化学)。耐油、耐寒、耐熱、高反発といったニーズに応えた特徴あるグレードを有しており、それらの拡販を進めていく。

 17年度は引き続きフル生産、フル販売で、需給ひっ迫の状況が継続する見通し。「ラービグをいかに立ち上げ、いかにスムーズに移管するかが、今年度は重要になる」(同)。

 旺盛な需要が見込まれる中で、懸念するのは市況の動向。「足元でも、市況の変動が続いている。原料価格と市況とのバランスを注視していかなければならない」(同)としている。

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