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解体・破砕事業者、解体システム提供者、素材メーカー、自動車部品メーカー、研究機関などが連携

自動車リサイクルにおける再生材利用拡大目指した自動車部品解体プロセス等の技術実証を開始

工業用品 2024-04-10

 デンソー、リバー、DIC、UACJ、金城産業、九州メタル産業、住友化学、大同特殊鋼、東レ、豊田合成、トヨタ紡織、野村総合研究所、古河電気工業、マテック、三井化学、早稲田大学などの企業・法人が進めている「ELV(使用済み自動車)自動精緻解体を起点とした水平サイクルを実現する動静脈一体プロセスの技術実証」が、環境省の令和5年度自動車リサイクルにおける再生材利用拡大に向けた産官学連携推進事業の一つに採択された。なお、同実証は3月上旬から開始しており、2025年1月末まで実施する予定。

 「水平サイクル」とは、使用済み製品を資源にして同じ製品に利用するリサイクルシステム。「動静脈」とは、経済活動を動物の血液循環に例えた呼称で、資源を加工して製品などを生産する産業を「動脈産業」。使い終わった製品を集め、再販売、再加工などを通して、再び社会に流通させる産業を「静脈産業」という。

 近年、自動車産業では、持続可能な社会の実現に向けて「サーキュラーエコノミー」への転換が求められており、再生材の大幅な利用拡大を通じて新たな天然資源の投入量を削減することが必要とされている。しかし、現在世界ではELVを破砕し、材料ごとに選別して再生材を作り出す手法を取っていることが多く、高純度の再生材に向けた材料を選別することが極めて難しいため、水平サイクル率が低い状況となっている。また、これまで動静脈の連携が十分ではなかったことから、高い品質が求められる自動車部品の材料として再生材を用いるための取り組みが進んでいなかった。

 一方、ELVの解体・破砕を担う業界では、労働力不足への対応や、安全・安心で快適な労働環境の整備などが課題となっている。これらの課題解決とともに、再生材の質と量の確保にも繋がるELVの新たな処理手法への転換が必要となっている。

 今回、ELV解体・破砕事業者、解体システム提供者、素材メーカー、自動車部品メーカー、研究機関などの参画企業・法人が連携し、質と量の確保の両方を実現する新たなELVの処理手法である「自動精緻解体プロセス」を起点とした動静脈一体となったプロセスの技術実証を通じて、動静脈一体のエコシステムを社会実装するうえでの課題の抽出を行う。具体的には、自動精緻解体プロセスの技術実証や、精緻解体で抽出した各種素材の高純度化・再資源化プロセスの技術実証およびそれによって作られた再生材を用いた部品の試作評価を実施する。

 また、CO2排出量削減の観点から自動精緻解体プロセスの環境への負荷低減効果を測定し、処理方法の持続可能性についても検証を行う。

 参画する企業・法人は、同実証を通じて自動車部品の再生材利用の拡大を目指すとともに、動静脈一体となった自動車産業のサーキュラーエコノミー実現に向けて貢献する。

 ■参画企業・法人の主な役割
 ◇リバー(共同代表)、金城産業、九州メタル産業、マテック=自動車および自動車部品の精緻解体、解体データの取得◇デンソー(申請法人・共同代表)=自動車部品解体システムの開発◇早稲田大学所千晴研究室=解体で抽出された素材の高純度化◇DIC、UACJ、住友化学、大同特殊鋼、東レ、古河電気工業、三井化学など=自動車部品用の品質に適合させる再資源化プロセスの開発と再生材の評価◇豊田合成、トヨタ紡織=再生材を用いた自動車部品評価◇野村総合研究所=プロジェクトマネジメントおよびCO2排出量削減効果の評価支援

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