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【特集】ISO認証とゴム産業

カワイチ・テック、27001認証でセキュリティ強化

原材料 2017-02-28

川口秀一社長


 カワイチ・テック(千葉県成田市)は、ゴム精練企業で唯一、ゴム関連業界でも数少ない情報セキュリティマネジメントシステム認証の「ISO/IEC27001:2013」を取得している。同社の川口秀一社長に同認証に関して話を聞いた。

 当社はゴム・プラスチック・樹脂コンパウンド主体に特殊機能材コンパウンド、熱硬化性機能樹脂成型品など高機能特殊製品を生産している。これらの大半は顧客のオーダーメイド品であり、守秘義務を伴うケースも多い。このため成田工場を対象範囲に2006年にISO9001、翌年には同14001認証を取得したのはもちろんのこと、より万全なセキュリティ体制構築のために、同工場対象に2010年9月1日付で、情報セキュリティマネジメントシステム「ISO/IEC27001:2005」認証も取得し、現在は最新版の「ISO/IEC27001:2013」に更新している。なお9001および14001認証は、一歩進んだ運用を目的に、統合システムとしての認証取得を年内めどに目指しており、個別認証としては現在返上している。

 当社は27001認証に則り、社屋出入口への監視カメラ設置に加え扉にICカードキーを装着し、まず出入りの段階で管理している。社屋内もセキュリティレベル別に3段階に区分けし、各エリア内の立ち入りに制限を設けている。

 またコンピュータ関連も、セキュリティシステムダウン防止のため無停電装置を取り付けている。ハッカー対策としてメールなどのソフトも一般的なタイプと異なるものを採用しているほか、ファイアウォールレベルも高度化している。しかしコンピュータ関連の進化は日進月歩であり、監視体制の強化充実を常に図っている。なお無停電装置の取り付けは、この工業団地内でも当社だけで、工業団地全体がブラックアウトした際も当社だけは停電はしなかった。

 廃棄物処理にも、情報漏洩対策をしている。社名や製品名などが印刷された空き袋などを廃棄すると納入先や製造品目が特定される懸念があるため、部外者の目に触れないエリアに貯蔵するか、徹底的に細かく粉砕し廃棄している。

 これら徹底した情報セキュリティ策の実施により、顧客からは安心して当社に任せられると高い評価を得ており、高機能特殊品や新規品の受注が年々増加傾向にある。

 この様に当社では情報セキュリティに取り組んでいるが、ゴム関連業界では27001認証は余り浸透していないのではないだろうか。ゴム製品企業には、配合レシピや製造過程などに顧客のオーダーメイド仕様の部分が多く存在しており、情報管理体制の強化充実は必要不可欠で、27001認証を取得する企業がもっと増えても良いのではないか。

 さらに情報管理と関連して、当社ではBCPつまり災害や事故などの発生時に、基幹事業の継続や早期の事業再開のための過程である事業継続計画も策定しており、東日本大震災の際も速やかに対応し、顧客に大変喜ばれた。

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