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地震時の免震効果を確認

日本免震構造協会が熊本の調査結果を報告

工業用品 2016-05-25

 日本免震構造協会(和田章会長)は5月25日に都内事務所で会見し、免震構造を採用した建物が熊本地震でも効果を発揮したと発表した。

 同協会では震災直後に和田会長が熊本で状況視察を行うとともに、日本建築学会災害調査委員会(高山峯夫委員長)と共同で免震・制振建物調査を実施、現時点での調査結果を発表したもの。会見には和田会長のほか日本建築学会災害調査委員会の高山委員長らが出席し、報告を行った。

 それによると、熊本県内の免震建物はマンション・市庁舎・医療センター・ホテル・事務所など約20棟。そのうち、免震層への立ち入り許可が得られた約10棟を調査した。建物には地震計が設置されておらず、「地震時の建物の水平方向の挙動を把握できるケガキ式変位計や配管のこすれ具合などから免震効果を計測した」(高山委員長)。

 調査によると、熊本市北隣の山鹿市で全振幅約16センチメートルの変形を計測したほか、熊本市街地で片振幅30―35センチメートル、阿蘇市では「記録されているものでは世界一と思われる」(和田会長)全振幅約90センチメートルの大変形を確認し、地震時に免震装置がしっかりと機能したことが証明された。また聞き取り調査により、病院・ホテル等では地震時にも機能を維持したほか、大部分の建物で家具の転倒は殆どなかったことが分かった。

 一方でエキスパンションジョイント等の損壊が散見されるなど、東日本大震災時と同様の課題点も確認した。

 未調査の免震建物については「現時点でトラブルの情報は入っていないので、基本的な免震機能は発揮されたとみている」(高山委員長)が、立ち入り許可が下り次第共同調査を進めていく方針。大分県の免震建物の調査についても、「出来る範囲で実施していく」(同)。

 日本免震構造協会では9月2日の午後、工学院大学・新宿キャンパスで免震フォーラムを開催する。今後の調査結果については、同フォーラムで発表する予定。

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