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【新年インタビュー】朝日ラバー渡邉陽一郎社長

ゴムの本質とは何なのかを理解する

工業用品 2017-01-17


 「16年はゴムメーカーとして次にどうするのか、ゴムの材料としての在り方は何なのかを考えた」という朝日ラバーの渡邉陽一郎社長。それを基に、17年以降は「腕前を上げること、質的成長」を目指していく。

 ■16年を振り返って
 16年は2月に、中期経営計画「AR-2020VISION」の最初の3カ年計画である「V-1計画」の修正を発表しました。従来の計画に比べ目標数字は下方に修正したのですが、16年はゴムメーカーとして次にどうすれば良いのか、何をテーマに集中すれば良いのかというのを考える年で、中計の先に求める答えを探した年でした。

 業績としては、上期(4-9月)に受注が回復し、前向きになりました。

 ■16年度の業績見込み
 11月に通期業績予想の上方修正を発表しました。上期に堅調だったASA COLOR LEDやRFIDタグ用ゴム製品などの受注が、下期も堅調に推移する見通しのためです。経常利益については過去最高を見込んでいます。

 ■中計の進捗
 当社の売上高は、6割が自動車向け、2割が医療向け、残りが2割です。その中で、事業のバランスや多方面に力をつけていくことを考え、ライフサイエンスを大きな目玉の一つとして取り組んでいます。

 16年度で「V-1計画」の最終年度が終了します。計画数字に対し、自動車は達成の見込みで、医療も大きくは外れていません。自動車と医療は、当社が30年、40年もの長い期間を経て力を蓄えてきた結果だと考えています。

 一方のライフサイエンスについては、その基盤技術である接着技術に当社が取り組んで10年ほど、事業化してからはまだ2-3年しか経っていません。ターゲットとしている部分も、まだまだこれからの産業です。今は、その変化の中で当社がどこにあるべきかを探っている状況です。前に進んでいくための腕前は上げて来れていると思いますが、周りの状況も加味すると、ライフサイエンス事業の計画は、2-3年後ろになるとみています。

 ただ、新しいことにチャレンジし、前を向けているのは、会社としてとても良いことです。大事なことは、ゴム材料をただの柔らかいものから、違う方向に向けることができたことです。ゴムは柔らかいという機能にウエイトを置きがちですが、ゴムの存在理由は何か、ゴムらしい提案とは何かというゴムの材料としての在り方を考えた点では技術の面からも、営業の面からも一番の収穫でした。

 ゴムはどうあるべきかというのは、今後も大切なキーワードとして残していきたいと思います。

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