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【インタビュー】日本ゴム工業会ISO/TC45国内審議委員会委員長荒木俊二氏

新提案、組織運営に貢献

工業用品 2016-02-08


 「ゴムおよびゴム製品」のISO規格について活動する日本ゴム工業会ISO/TC45国内審議委員会は、日本の強みを活かした規格提案を積極的に行い、国際会議の場でその存在感を年々高めている。同国内審議委員会の荒木俊二委員長は、1月22日開催の日本ゴム工業会幹事会でもISO/TC45活動の近況報告を行った。本紙は荒木委員長に改めてインタビューし、日本が目指すTC45活動の方向性などを聞いた。
 

国内の委員会活動も活発

 ■最近のISO/TC45国際会議の特徴
 過去5年の参加者動向をみると、中国からの参加者が確実に増加しています。直近の15年10月、フランス・ヴィシーで開かれた国際会議でも日本の28人に次ぐ19人と、2番目の参加人数でした。

 中国はここ数年、規格の提案件数も増えていますが、情報不足のためか、既に解決済みの規格提案を行い、新規提案の可否投票前に否決される例もみられます。

 再来年の18年には国際会議を中国で開くことが決定しており、明らかにTC45活動に力を入れ始めていることも事実です。

 ■TC45における日本の立場
 TC45国内審議委員会は今年、創設20周年という節目を迎えます。20年というTC45活動の歴史の中で今日、国際会議参加国の中で一番の派遣人数を出すなど、プレゼンスが高まっています。

 また規格提案件数も、全体審議件数の20%を超えており、発言力も強まってきました。

 その結果、TC45組織の中に4つのSC(分科委員会)がありますが、そのうちのひとつのSC2(化学分析および物理試験)の国際議長を国内審議委員会の青木正己事務局長が務めています。

 さらにSCの下に26のWG(作業グループ)がありますが、その中の4つのWGのコンビーナ(議長)を日本が担当しています。

 4つのWGのうち、SC4(タイヤ、ベルト、ホースを除くその他ゴム製品)のWG8(軟質フォーム)は、前コンビーナが退任するとき、日本にやってほしいと名指しで要請があったほどです。

 このようにTC45の中で日本は、他国からみて積極的に活動しているという認識を持たれています。TCとSCの数だけでも約750ある中で、受賞が大変難しい「ローレンス・D・アイカー賞」を14年、日本が国際幹事国としての役割を果たしてきたSC2で受賞したことは、そうした認識を裏付けるものといえるでしょう。

 ■国内審議委員会について
 我々も新しい提案を通して、またTC45の組織運営を含めて積極的に貢献しているという自負があります。

 こうした活動を全面的にバックアップしてくれているのが、日本ゴム工業会の会員企業です。会員企業から国内審議委員会の各分科会に人材を派遣してもらっており、その数は延べ224人にのぼります。

 各企業の理解を得られているため、委員会活動はとても活発であり、会の出席率は毎回ほぼ100%という状態が続いています。また全ての国内審議委員が積極的に議論に参加し、活発な会議運営が行われている状況です。

 ■創設20周年
 TC45国内審議委員会は当初、日本ゴム協会の中で1996年5月に創設されましたが、ゴム工業全体の支持を受けて運営するのが望ましいという考え方から、翌97年に日本ゴム工業会に運営主体が移りました。

 ゴム協会時代から数えて今年で創設20周年を迎えるため、7月22日に記念行事を開くことにしています。記念行事では、TC45活動に貢献していただいた方の表彰を予定しているほか、次の20年に向け日本として規格標準化のために何をすべきか、を考えるパネルディスカッションを開く方向で調整しています。

 また国内外合わせて約60件の寄稿文からなる記念誌の発行も計画しています。

 ■国内審議委員会の課題
 一つは次の20年に向けてTC45活動を担う人材の育成です。特に若手の委員には国際会議などを含めて参加する場、発言する場を与え、経験を積ませるなどして育てていきたいと考えています。

 もう一つは、日本の強みを活かせる規格づくりを意識しながら、新しい技術や技術の進歩に合わせて、ゴム業界に役立つテーマを今後も探索していけるかどうかです。

 今後も日本がTC45をリードしていくためには、テーマ探索が大きな課題になります。そのためにも、日本の工業界に役立つテーマで国からの支援ももらえると幅広い活動ができますので、会員企業には引き続きご理解とご支援を賜りますようお願いいたします。

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